シャトールノー級軽巡洋艦

シャトールノー級軽巡洋艦：イタリア艦艇のフランスでの運用

第二次世界大戦後、イタリア海軍の敗戦に伴う戦後処理として、2隻の軽巡洋艦がフランス海軍に引き渡されました。これらが、のちに「シャトールノー」級軽巡洋艦として知られることになります。元々はイタリア海軍のカピターニ・ロマーニ級軽巡洋艦であった「アッティリオ・レゴロ」と「シピオーネ・アフリカーノ」です。1948年8月、フランスはこれら2隻を接収し、「アッティリオ・レゴロ」を「シャトールノー」、「シピオーネ・アフリカーノ」を「ギシャン」と改名、自国の海軍に編入しました。

艦形と兵装

シャトールノー級は、イタリア海軍時代の艦形を踏襲しつつ、フランス海軍での近代化改装によってその姿を変えていきました。元々はクリッパー型の艦首と短船首楼型船体を持ち、13.5cm（45口径）連装砲を4基搭載していました。艦橋構造物は円柱状の測距儀塔を備えた特徴的なものでした。艦載艇は2本の煙突の間に配置され、特筆すべきは、世界でも珍しい上下に配置された連装魚雷発射管を備えていた点です。この配置により、片舷8本の魚雷発射能力を持っていました。

フランス海軍での改装後、13.5cm砲は10.5cm高角砲に換装され、円柱状の艦橋もより低く、箱型のものへと変更されました。対空・対潜能力の強化が改装の大きな目的であり、類別上は艦隊護衛艦となりました。この近代化改装は1951年から1954年にかけて行われました。

運用と除籍

「シャトールノー」と「ギシャン」の2隻は、フランス海軍で1950年代から1960年代初頭まで運用されました。冷戦時代の海軍戦略の変化に伴い、旧式化する軽巡洋艦は近代的なフリゲートなどに置き換えられていくことになります。結果、「シャトールノー」は1962年、「ギシャン」は1961年に除籍され、解体されました。

シャトールノー級の意義

シャトールノー級は、戦後処理という歴史的背景の中でフランス海軍に編入された艦艇としてその存在意義を持ちます。イタリアから接収された艦艇を近代化改装し、自国の海軍力として活用したことは、フランス海軍の技術力と運用能力を示す事例として捉えることができます。また、艦形や兵装の特徴は、当時の海軍技術水準を反映しているといえます。世界でも珍しい魚雷発射管の配置などは、その一例として注目に値します。シャトールノー級は、その短い運用期間にもかかわらず、フランス海軍史において重要な位置を占める艦艇の一つと言えるでしょう。

参考文献

「世界の艦船 1986年1月増刊号 近代巡洋艦史」（海人社）
「世界の艦船増刊第50集　フランス巡洋艦史」（海人社）
「世界の艦船増刊　イタリア巡洋艦史」（海人社）
「世界の艦船 2010年1月増刊号 近代巡洋艦史」（海人社）
* 「Conway All The World's Fightingships 1922-1946」（Conway）

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