シャノン (装甲巡洋艦・初代)

シャノン（HMS Shannon）

イギリス海軍の装甲帯巡洋艦であるシャノンは、同海軍初の装甲巡洋艦と称され、1873-74年度に建造されました。この艦船は、クリミア戦争での戦訓を受けて、フランス海軍の装甲艦に対抗するために設計され、装甲艦と巡洋艦の特性を併せ持つ重要な存在でした。

来歴

装甲艦の時代はフランス海軍の「ラ・グロワール」とイギリス海軍の「ウォーリア」によって始まり、海軍はシーレーンの防衛を強化する必要に迫られました。この背景の中で、イギリス海軍は1867-68年度にオーディシャス級、1868-69年度にスウィフトシュア級といった遣外任務を想定した装甲艦を建造しましたが、これらは高コストであるとされ、なかなか実用化には至りませんでした。

そこで1871年、艦型調査委員会が設立され、張り出した問題に対する解決策が検討されました。この結果、必要な要素を一隻で兼ね備えることは難しいとの結論に至り、異なる艦種によって補完し合うという設計方針が決まりました。装甲艦は大型化と重武装が進む中で、代わりに適度な火力と防御力を持つ巡洋艦の開発が進められることとなり、その結果としてシャノンの設計が進みました。

設計

シャノンは装甲艦に準じた設計を施され、L/B比は4.8とされています。船体形状は平甲板型で、艦先には衝角を持つ特色があります。防御面では、艦全長の4分の3を覆う水線装甲を装備し、装甲厚は152-229mmの範囲で設定されていました。さらに200mmを超える厚さの背材や隔壁、甲板も採用され、構造的な強靭さを持ち合わせていました。また、竣工直後の改修で、229mmの厚みを持つ司令塔も追加されました。

動力に関しては、レアード式の横置き型複式レシプロ蒸気機関を主機として採用し、ボイラーはスコッチボイラー8缶自を搭載する仕様でした。外地での燃料供給を考慮し、炭庫の容量は280トンに制限されましたが、艦には3本の帆走用マストが設けられ、24,000平方フィート（約2,200m²）の展帆面積が確保されました。さらなる改修で、展帆面積を減少させる代わりに炭庫容量を増強しましたが、主機出力が限られていたため、最大速力は12.25ノットにとどまるほか、機関トラブルも多発したことが課題として残りました。

武装面では、中央砲郭艦に沿った配置が採用され、艦には複数の砲が装備されました。25.4cmの前装施条砲2基が艦首楼の後方に、その他の砲が両舷と艦尾に設置され、艦自体の防御力を強化しました。また、竣工後の改修時に魚雷発射機や魚雷防御砲も装備されています。

艦歴

シャノンは1878年3月に海峡艦隊に編入された後、中国艦隊配属を経て改修のため本国に戻り、再就役後はしばらく地中海へ展開しました。1879年からは太平洋へも進出しましたが、1881年にダベンポートへ帰還するなど、海外展開は限られていました。その後も沿岸警備任務に従事し、1893年には予備役へと編入されました。

このように、シャノンは設計や運用において当時の海軍の課題に対応した艦船であり、イギリス海軍の装甲巡洋艦の進化を示す重要な遺産となっています。

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