シャンム・ナシーム

シャンム・ナシームについて

シャンム・ナシームは、エジプトで春の始まりを祝う重要な休日であり、その名は「そよ風を楽しむ」という意味を持っています。これは、エジプト最大のキリスト教派、コプト正教会のカレンダーに基づき、東方教会の復活祭の翌日に祝われるため、移動祝祭日とされています。驚くことに、キリスト教徒に限らず、この祭りはエジプトの全住民によって祝われる国民的なイベントと見なされています。ムスリムもこの日を楽しむことが一般的で、シャリーアに反するとされることはありません。

祝日の風習

この特別な日は、公園や野原でのピクニックが盛行し、エジプト中の公園は人々で賑わいます。伝統的な食べ物として、塩漬けにして発酵させた魚のフィシーフや、燻製の塩漬けニシンであるリンガが食されています。特にフィシーフは非常に独特な香りがあり、この日には街全体がその匂いで満たされるのです。また、卵を色付けして装飾する習慣は、イースターの伝統に通じるものがあります。レタスや玉ねぎもこの時期によく食べられます。

健康への注意

しかし、この祭りには注意が必要です。食中毒が頻発することがあり、家庭で作られたフィシーフを食べることで深刻な影響を受けることがあります。このため、エジプトの医療機関は毎年シャンム・ナシームの時期に国民に対して注意を促しており、食中毒やその他の健康問題に備えた救急車の配備も行われています。2018年には、2134台もの救急車がこの期間中に対応準備を整えていました。

歴史的背景

シャンム・ナシームの起源は、古代エジプトの紀元前2700年頃までさかのぼります。紀元1世紀にプルタルコスが記録したように、古代エジプトの人々は春の収穫祭シェムを祝い、神々に塩漬けの魚やレタス、玉ねぎを捧げていました。この春祭りの時期は、ギザの大ピラミッドの太陽の位置を参考に決められていたと伝えられています。また、卵を食べる習慣も当時から存在していたと考えられています。

キリスト教がエジプトに広がると、この祭りは復活祭と融合し、シェムの日が復活祭の翌日に祝われるようになりました。そして、エジプトがイスラム化されると、この祭りはイースターマンデーに祝われるようになったのです。シャンム・ナシームという名前はコプト語に由来し、やはり「そよ風を嗅ぐ」という意味を持っています。

日付の例

シャンム・ナシームの日付は毎年異なります。たとえば、2012年は4月16日、2013年は5月6日、2014年は4月21日、以降も続きます。このように、毎年の祝祭はエジプト文化の重要な一部であり、春の訪れを楽しむ日として、世代を超えて受け継がれています。

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