シャーク (SS-314)

バラオ級潜水艦 USS シャーク (SS-314)：その勇姿と悲劇的な最期

USS シャーク (SS-314) は、アメリカ海軍が運用したバラオ級潜水艦の一隻です。その名のとおり、サメを意味する艦名は、同名艦としては6代目にあたります。1943年1月28日、コネチカット州グロトンで起工、同年10月17日に進水、そして1944年2月14日、エドワード・N・ブレイクリー少佐の指揮下で正式に就役しました。ニューロンドンでの整調後、パナマ運河を通過し、4月24日には真珠湾に到着、ハワイ沖で最終訓練を終えています。

激戦の第一、第二哨戒

シャークの最初の哨戒は、1944年5月から8月にかけて行われました。ピンタド、パイロットフィッシュと共にウルフパックを編成し、マリアナ諸島方面へ展開。6月2日早朝、サイパンから横須賀へ向かう敵船団（4530船団）と遭遇します。8隻の貨物船と護衛艦艇からなる船団に対し、シャークはパハロス島西方で魚雷攻撃を実施。初弾は目標を外れましたが、続く攻撃で貨物船千代丸を撃沈することに成功しました。爆雷攻撃を回避しつつ哨戒を継続し、2日後の6月4日には、厳重に護衛された3530船団を追跡。攻撃態勢に移るも駆逐艦に接近され攻撃を断念、敵艦の左舷をかすめて通過した後、貨物船勝川丸に魚雷4本を発射し撃沈しました。6月5日にはさらに攻撃を仕掛け、高岡丸、たまひめ丸の2隻の貨物船を撃沈しました。激しい攻撃をかわし、6月17日、32日間の哨戒を終えミッドウェー島へ帰投しました。

7月10日には2回目の哨戒で小笠原諸島方面へ。7月19日には敵船団を発見し魚雷攻撃を試みましたが、船団の回避行動により命中せず。8月1日には再び船団と遭遇したものの、護衛艦の攻撃により攻撃を断念。その後、硫黄島近海で空母機動部隊の救助巡航任務に従事し、8月4日には空母レキシントン所属の撃墜機のパイロット2名を救助する活躍を見せました。そして8月19日、50日間の哨戒を終えミッドウェー島、その後真珠湾へ帰投しました。

そして、最後の哨戒へ…

1944年9月23日、シャークはシードラゴン、ブラックフィッシュと共にウルフパックを編成し、3回目の哨戒でルソン海峡へ向かいました。ブレイクリー少佐がウルフパックリーダーとなり、サイパンに立ち寄った後、10月3日に出航。ルソン島北端ボヘヤドール岬西方海域では、マニラから高雄へ向かうマタ30船団（別名「春風船団」）の攻撃が開始されており、シャークもこの戦闘海域で消息を絶つことになります。

10月23日、シャークはソーフィッシュから輸送船団攻撃の報告を受け、新たな哨戒海域に急行しました。翌日未明には、ブラックフィッシュに輸送船団への接触を報告、その後シードラゴンにも貨物船への攻撃開始を報告。しかし、これがシャークからの最後の通信となりました。あらゆる通信試行が失敗に終わり、10月25日日没まで、他の潜水艦からの報告を待ちましたが、シャークからの応答はありませんでした。11月27日、シャークの喪失が正式に報告されました。

戦後の調査で、日本の記録から10月24日未明、ルソン海峡で駆逐艦春風がシャークを探知し、爆雷攻撃を行った事実が判明しました。春風の記録にはシャーク撃沈の記述がないものの、同艦が10月24日に行った爆雷攻撃が、シャークの最期であった可能性が高いと推測されています。シャークは第二次世界大戦での功績により、1個の従軍星章を受章しました。その勇敢な戦い、そして悲劇的な最期は、太平洋戦争におけるアメリカ海軍の潜水艦戦の歴史に深く刻まれています。

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