シュトラールズント歴史地区とヴィスマール歴史地区

シュトラールズントとヴィスマールの歴史地区：ハンザ同盟の繁栄を伝える世界遺産

ドイツのメクレンブルク＝フォアポンメルン州に位置するシュトラールズントとヴィスマールは、ハンザ同盟都市として栄華を極め、共にスウェーデン領であった時代を持つなど、共通の歴史を歩んできました。これらの都市の旧市街には、ハンザ同盟時代の繁栄を偲ばせる美しい建築物群が今もなお残っており、2002年にユネスコの世界遺産に登録されました。

ハンザ都市の成立と発展

ヴィスマールとシュトラールズントは、ロストックと共に、リューベックからの移民によって建設されました。バルト海沿岸に約60キロメートル間隔でロストック（1218年）、ヴィスマール（1229年）、シュトラールズント（1234年）が相次いで築かれた背景には、当時の主要な交易手段であったコグ船の航行距離が関係していたと言われています。これらの都市は、レンガ造りのゴシック建築に特色があり、その建造物群は、当時の建築技術の発展を今に伝えています。

ヴィスマールの見どころ

ヴィスマールは1229年に建設された都市で、三十年戦争後にはシュトラールズントと共にスウェーデン領となりました。その後、メクレンブルク大公国領となりますが、スウェーデンとの繋がりは曖昧なまま残り、正式にドイツ領となったのは1903年のことです。

市庁舎が面するマルクト広場は、「北ドイツで最も美しい広場」と称されることもあります。広場周辺には、ハンザ商人が建てた建物やスウェーデン時代に建てられた淡い色のファサードを持つ建物が混在し、様々な時代の建築様式を見ることができます。

広場に面する建物の一つであるアルター・シュヴェーデは、ヴィスマール最古の建築物で、1380年に建設されました。現在は居酒屋として利用されています。広場の南側には、ヴァイマール名物のビール醸造と結びつく古井戸のある建物ヴァッサークンストがあります。これは1602年に建てられ、19世紀半ばに改築されたものです。

聖マリア教会は第二次世界大戦で被災し、塔を残して取り壊されました。残された高さ80メートルの塔は、かつて入港する船の目印となっていました。聖ニコライ教会はフランスの大聖堂を手本として建てられたレンガ建築の聖堂で、その高さは世界で2番目です。内部には、1430年頃に作られた「小売商人ギルドの祭壇」など、豪華な調度品が飾られています。

16世紀に建設されたシャッベルハウスは、当時の市長ヒンリヒ・シャッベルの邸宅で、現在は歴史博物館として利用されています。ネーデルラント・ルネサンス様式の赤レンガ造りの建物で、ハンザ商人の邸宅の様子を知ることができます。

シュトラールズントの見どころ

シュトラールズントは、「鋭い矢」を意味する言葉が語源で、三方を水に囲まれた地形に由来します。その美しい街並みから、「ハンザの宝石」とも呼ばれています。

市庁舎は、レンガ造りの美しいファサードが特徴で、特に尖塔や透かし模様は見事です。市庁舎の前にあるアルター・マルクト広場には、聖ニコライ教会が隣接しています。聖ニコライ教会と市庁舎は内部で繋がっており、これはハンザ商人が市の参事会員の多くを占めていた時代に、利便性を考慮して造られたものです。

ヴィスマールとシュトラールズントに共通して聖ニコラウスの名を冠する教会があるのは、彼が船乗りの守護聖人であるためです。

ノイアー・マルクト広場には、かつて大聖堂や修道院を転用した文化歴史博物館や海洋博物館があります。

世界遺産登録の経緯

シュトラールズントとヴィスマールの歴史地区は、ハンザ同盟の中でもヴェンド人地区を代表する都市であること、リューベックがハンザ同盟の揺籃期を代表するのに対し、盛期を代表する都市であること、そして、ロストックなど他の都市に比べて街並みの保存状態が良好であることなどが評価され、世界遺産に登録されました。これらの都市は、ハンザ同盟の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産であり、その普遍的な価値が認められています。

シュトラールズントとヴィスマールの歴史地区は、ハンザ同盟の繁栄を偲ばせる美しい街並みと建築物群を通じて、中世の歴史と文化を体験できる貴重な場所です。

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