シュド・ウエスト SO.1221

SO.1221 ジン（Sud-Ouest S.O.1221 Djinn）

SO.1221 ジンは、フランスのシュド・ウエスト社（後にシュド・アビアシオン社へと改名）が手掛けた2座席の軽ヘリコプターです。この機体は、ローターに取り付けられたブレードの先端から圧縮空気を噴射する独自の方式を取り入れており、そのため通常のヘリコプターとは異なる飛行特性を持っています。

開発の背景

シュド・ウエスト社は、初期のアリエル チップジェット式ヘリコプターの開発経験を基に、SO.1221ジンの設計に取り掛かりました。アリエルで採用されたチップジェット機構とは異なりますが、SO.1221も同様に革新的な冷風チップジェット方式を採用しています。この設計により、機体の効率的な操縦が可能になりました。

このヘリコプターは、標準的なヘリコプターのスタイルを採用しており、2座の乗客室の後ろにはチュルボメカ アルトウステという圧縮機駆動のターボシャフトエンジンを搭載しています。また、特筆すべきは、無トルクのローター回転機構です。この機能によって、従来必要とされる反トルク用のテールローターが不要となり、シンプルな尾部のデザインが実現されました。尾部には二枚の尾翼と方向舵だけが装備されています。

試作機として名付けられたSO.1220は、1953年1月2日に初飛行を行い、推進システムの有効性を証明しました。その後、SO.1221として5機の2座席試作機が製造され、1953年12月16日に初飛行を果たしました。この試作機は、4,789メートルに達するという新たな高度記録を樹立することに成功しました。

フランス陸軍はSO.1221の評価に基づいて22機の前量産型を生産するよう求め、初号機は1954年9月23日に飛行しました。また、いくつかの機体がアメリカ陸軍にYHO-1として評価用に購入されるなど、国内外で広く注目される存在となりました。フランス陸軍では、この機体を連絡、観測、訓練、負傷者の搬送に使用し、合計で178機が製造されました。1960年代半ば頃には生産が終了し、一部は民間用途として農業機に改造されました。

運用状況

このヘリコプターは、フランス陸軍および西ドイツ陸軍、さらにはアメリカ合衆国のアメリカ陸軍においても運用されました。主に連絡や観測、輸送任務に利用され、その機動性と迅速な展開能力が評価されています。

性能と諸元

• - 乗員: 1名
• - 乗客: 2名
• - 全長: 5.30メートル
• - 全高: 2.6メートル
• - 主回転翼直径: 11メートル
• - 空虚重量: 360kg
• - 全備重量: 800kg
• - 発動機: 1 × チュルボメカ アルトウステ VI ターボコンプレッサーエンジン（240 hp）
• - 巡航速度: 130 km/h
• - 航続時間: 約2時間15分

このように、SO.1221ジンは軽快かつ高性能なヘリコプターとしての地位を確立し、さまざまな任務において大きな貢献を果たしました。独自の技術と洗練されたデザインは、航空史において特異なマイルストーンとして記憶され続けています。

関連項目

• - チップジェット
• - ホットサイクル式ローター

出典

外部リンク

• - Sud-Ouest Djinn by the German Army
• - Restoration of a Djinn by CELAG - Centre d'etudes et de loisirs Aerospatiaux de Grenoble

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