シュリンプカクテル

シュリンプカクテル：世界を魅了するエビ料理

シュリンプカクテルは、シンプルながらも魅力的な前菜です。殻をむいた茹でエビを、カクテルグラスに美しく盛り付け、特製のソースを添えて提供されます。アメリカ合衆国やイギリスでは特に人気が高く、家庭料理から高級レストランまで幅広く楽しまれています。

ソース：シュリンプカクテルの要

シュリンプカクテルの美味しさを決めるのは、何と言ってもソースです。アメリカでは、ケチャップと西洋わさび（ホースラディッシュ）を組み合わせた「カクテルソース」が伝統的な定番です。しかし、国や地域によってソースのバリエーションは豊かです。マヨネーズベースのものや、ウスターソース、ホットソースなどを加えたものなど、多様な味わいが楽しめます。日本のオーロラソースも、そのバリエーションの一つと言えるでしょう。

歴史：オイスターカクテルからシュリンプカクテルへ

シュリンプカクテルの歴史を紐解くには、その前身である「オイスターカクテル」を理解する必要があります。19世紀のアメリカでは生牡蠣が非常に人気があり、多くのレストランで提供されていました。このオイスターカクテルは、1860年代のサンフランシスコの鉱山労働者が牡蠣をケチャップにつけて食べたのが始まりという説が広く知られていますが、信憑性は必ずしも高くありません。

確かなのは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、オイスターカクテルが料理として定着し、レシピが料理本にも掲載されるようになったことです。現在知られるカクテルソースのレシピも、この時期に確立されたと考えられています。また、この時代には様々なものに「カクテル」という言葉が付けられる流行がありました。オイスターカクテルやシュリンプカクテルも、こうした流行の中で生まれた可能性があります。

しかし、初期のオイスターカクテルは、現在のような料理ではなく、むしろ酒に牡蠣を浸した飲み物であったという説もあります。これは、1889年のシカゴ・トリビューンに掲載された記事にも言及されており、ニューヨークの高級レストラン「デルモニコス」でも提供されていたとされています。このタイプのオイスターカクテルは、1930年代まで提供されていましたが、牡蠣の収穫量の減少により衰退していきました。

牡蠣の収穫量が減少した一方、エビの産業が成長したことで、シュリンプカクテルが台頭しました。1914年には、既にシュリンプカクテルがレストランのメニューに記載されており、飲み物ではなく、ソースとエビを別々に提供するスタイルへと変化していったことがわかります。その後、様々な料理本でシュリンプカクテルのレシピが紹介されるようになり、人気が高まっていったと考えられます。

シュリンプカクテルの起源については、他にも禁酒法への対応から生まれた説や、1950年代後半のラスベガス発祥説など、様々な説が存在します。しかし、1900年代半ばには世界的に人気となり、現在に至るまで愛され続けていることは間違いありません。

イギリスでの人気：プローンカクテル

イギリスでは、シュリンプカクテルは「プローンカクテル」と呼ばれ、1960年代から1980年代後半にかけて高い人気を誇りました。マヨネーズとケチャップを混ぜた「マリー・ローズ」ソースを使用し、レタスとエビを和えて提供されます。「マリー・ローズ」という名前は、ヘンリー8世時代の軍艦メアリー・ローズに由来しています。

現在でも、クリスマスパーティーなどの注文カタログに必ず掲載され、スーパーマーケットでは一年を通して手軽に購入できます。ポテトチップスなどのスナック菓子にもプローンカクテル味があるほど、イギリス人の食生活に深く根付いています。しかし、一方で、プローンカクテルを好むことを公言することに抵抗感を持つ人もいるようです。

イギリスでプローンカクテルが広く知られるようになったのは、1967年に料理研究家のファニー・クラドックがテレビ番組でレシピを紹介したことがきっかけと言われています。それ以前にもプローンカクテルは存在していましたが、クラドックのレシピが、その知名度を飛躍的に高めたと言えるでしょう。

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