シュヴァルツブルク家

シュヴァルツブルク家：テューリンゲンの名門貴族の歴史

シュヴァルツブルク家は、テューリンゲン地方に根ざした古くからの貴族の家系です。その歴史は11世紀に遡り、数々の変遷を経てきました。本稿では、シュヴァルツブルク家の起源から、伯爵領、侯国としての発展、そしてその終焉までを詳細に解説します。

起源と前史

シュヴァルツブルク家の起源は、12世紀半ばからの記録で確認できます。それ以前の起源については、フランク王国に遡るとする説があり、8世紀のフランク王の息子グンダールが祖であると考えられていました。グンダールは、教皇グレゴリウス2世の手紙にも登場し、ケーフェルンベルク城の絵画にも描かれています。この絵画には、グンダールがジゲリウスおよびジッツォとともに描かれており、アルンシュタット近郊のケーフェルンブルク城はグンダールが建設したと伝えられています。

歴史家の間では、シュヴァルツブルク家とケーフェルンブルク家が共通の祖先を持つという見解が一般的です。彼らはイルメナウ、レムダ、プラウェを世襲領として領有し、シュヴァルツブルク家はさらにライヒスレーエン・シュヴァルツブルク、エーレンシュタイン、ケーニヒゼーも支配していました。加えて、ボヘミアからルードルシュタット、マインツ大司教領からゾンダースハウゼン、ザクセン選帝侯領からフランケンハウゼン、ザクセン＝ヴァイマルからアルンシュタット、ザクセン＝ゴータからイルムおよびパウリンツェラを得て、フルダとヘッセン＝カッセルにも領地を有していました。

記録に残る最も古いシュヴァルツブルク家の人物は、ジッツォ3世（1080年頃 - 1160年）です。彼は1141年、1143年、1144年の証文集にケーフェルンブルク伯として登場し、テューリンゲン伯、レンヴィッツガウ伯、シュヴァルツブルク伯としても言及されています。ジッツォ3世は1142年頃にゴータの南にゲオルゲンタール修道院を開き、パウリンツェラのフォークトに任じられました。

シュヴァルツブルク伯爵

ジッツォ3世フォン・ケーフェルンブルクは、1103年に初めて史料に登場し、1123年にはシュヴァルツブルク伯と呼ばれるようになりました。彼はケーフェルンブルク＝シュヴァルツブルク家の共通の祖とされています。12世紀半ばのシュヴァルツブルク伯領は、アルンシュタット近郊のケーフェルンブルク、テューリンゲンの森のシュヴァルツブルク、ヴィーエ近くのウンシュトルト川下流域とフィンネ山地でした。

ジッツォ3世の長男ハインリヒ1世は、シュヴァルツブルクの領地とイルムの半分を相続しました。次男ギュンター2世はケーフェルンブルク城を継ぎ、兄ハインリヒ1世の死後にはシュヴァルツブルクの領地も手に入れました。シュヴァルツブルク家は、ギュンター2世からシュヴァルツブルクを相続した息子ハインリヒ2世が祖であると考えられています。ハインリヒ2世は神聖ローマ帝国に地歩を確保すべくホーエンシュタウフェン家のシュヴァーベン王フィリップを支持し、後にフリードリヒ2世からザールフェルトとラニスの領地を与えられました。

16世紀初頭に始まった宗教改革は社会に大きな変化をもたらし、ギュンター40世の代にシュヴァルツブルク家の領地は概ね統一されました。彼の息子たちはそれぞれルードルシュタット、ゾンダースハウゼン、アルンシュタット、フランケンハウゼンを継承し、1599年のシュタットティマー条約により、シュヴァルツブルク＝ルードルシュタット伯領とシュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼン伯領の領域が確定し、1918年まで300年にわたって維持されました。

シュヴァルツブルク侯国

1697年、神聖ローマ皇帝レオポルト1世は、シュヴァルツブルク＝ルードルシュタット伯とシュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼン伯を侯に昇叙すると宣言しました。これにより、両伯領は侯国となり、帝国における地位を高めました。1754年からは諸侯部会に参加し、帝国の政治にも影響力を持つようになりました。

1909年にシュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼン侯カール・ギュンターが自殺すると、シュヴァルツブルク＝ルードルシュタット侯ギュンター・ヴィクトルがシュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼン侯国摂政となり、同君連合の形で両国を統治しました。しかし、1918年のドイツ革命により、ギュンター・ヴィクトルは退位を余儀なくされ、シュヴァルツブルク＝ルードルシュタット自由州とシュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼン自由州が成立、1920年には他のテューリンゲン諸邦と合邦してテューリンゲン州となりました。

1971年、フリードリヒ・ギュンターが子女なく亡くなり、シュヴァルツブルク家の男系は断絶しました。

領地と居城

シュヴァルツブルク家の領地構造は独特で、主領と属領に分かれていました。主領はシュヴァルツブルク＝ルードルシュタットとシュヴァルツブルク＝アルンシュタット、属領はシュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼンおよびシュヴァルツブルク＝フランケンハウゼンとされました。居城はシュヴァルツブルク＝ルードルシュタットではハイデクスブルク城、シュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼンではゾンダースハウゼン城に定められました。

紋章とメダル

ケーフェルンブルク＝シュヴァルツブルク家の紋章は、「青地に王冠を戴き赤い爪を持つ歩行姿勢の金色の獅子」でした。侯に昇叙されて帝国諸侯となった際に紋章が改められました。また、シュヴァルツブルク＝ルードルシュタット侯国およびシュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼン侯国では、君主家勲章としてシュヴァルツブルク名誉十字章が運用されていました。

シュヴァルツブルク家は、テューリンゲン地方の歴史において重要な役割を果たした貴族の家系です。その興隆と衰退は、中世から近代にかけてのドイツの政治・社会情勢を反映しています。

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