シラエビ

シラエビ（白海老）

シラエビ（Pasiphaea japonica）は、オキエビ科に属するエビの一種です。サクラエビと同様に深海に生息する小型のエビで、富山湾沿岸では食用として漁獲されています。

概要

シラエビは、地域によって様々な別名で呼ばれています。しかし、標準和名の「シラエビ」は、クルマエビ科の別の種類を指すため、注意が必要です。富山県では、一般的に「白えび」と呼ばれ、沿岸地域では「ヒラタエビ」と呼ばれることもあります。1996年には、ブリ、ホタルイカと共に「富山県のさかな」に指定されました。

特徴

体長は50 - 80mmほどで、サクラエビよりも大きく、やや平たい体型をしています。体色は無色透明で、わずかにピンクがかっていますが、死ぬと乳白色になります。この体色から「シラエビ」という名前が付けられました。

サクラエビと似ていますが、サクラエビはメスが抱卵しないのに対し、シラエビはメスが卵を腹肢に付着させて保護するという違いがあります。シラエビは日本沿岸の固有種で、富山湾、遠州灘、駿河湾、相模湾に分布していますが、商業漁獲が行われるのは富山湾のみです。

深海で群れを作って遊泳し、昼間は水深150 - 300mにいますが、夜は水深100m以浅まで上昇する日周鉛直運動を行います。

利用

シラエビは食用として漁獲されています。富山湾では、神通川や庄川が流れ込んだ先に「藍瓶」と呼ばれる海底谷があり、そこにシラエビが集まるため、商業捕獲が成り立っています。

生のシラエビは傷みやすく、富山湾以外ではまとまって漁獲できないため、以前は富山県周辺でしか入手できませんでした。しかし、流通網や冷凍技術の発達により、生身での流通も可能になりました。冷凍することで殻がむきやすくなるため、食材として見直され、「富山湾の宝石」と呼ばれるようになりました。

以前は出汁に使われることが多く、特に素麺の出汁として好まれていました。現在では、新鮮なものが寿司種、天ぷら、吸い物、えび団子など、様々な料理に用いられています。富山県の料亭では、1個に200匹ものエビを使った福団子が作られています。

富山県では、「白えび天丼」・「白えびのむき身（刺身）」・「白えびせんべい」など、多くの商品が開発され、新たな富山の名物となっています。射水市の新湊漁港では、シラエビ漁を見学できる観光船が運航されています。

石川県でもシラエビを使った料理が提供されており、寿司や天丼の他に、白えびコロッケなどもあります。

近縁種

日本産のシラエビ属には、以下の種類がいます。

ツノシラエビ Pasiphaea amplidens Bate, 1888
オキシラエビ P. sinensis Hayashi et Miyake, 1971
キタシラエビ P. tarda Krøyer, 1845
ヒトトゲシラエビ P. unispinosa Wood Mason, 1892

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