シルバー假面

シルバー假面

『シルバー假面』は、2006年に劇場公開された日本の実写特撮映画です。翌2007年には、全3巻のDVDシリーズとしてもリリースされました。この作品は、1971年から翌年にかけて放送された人気特撮テレビドラマ『シルバー仮面』を現代に甦らせたリメイク版にあたります。

概要

本作は、旧作の脚本家である佐々木守氏の遺稿を基に企画され、オリジナル版に深く関わった実相寺昭雄氏をはじめとするスタッフが再び集結して制作されました。ジェネオンエンタテインメントが自社で初めて手掛けた実写特撮作品としても特筆されます。

しかし、単なる焼き直しではなく、総監修を務めた実相寺氏の「旧作とは全く異なる世界観を創り上げたい」という強い意向が反映されています。そのため、物語の舞台を大正時代に移し、主人公を女性とするなど、内容が大幅に変更されました。これにより、ノスタルジックでありながらも新鮮な、独自の雰囲気を持つ作品が誕生しています。

実相寺昭雄監督は、残念ながら本作の試写会後に体調を崩され、間もなくお亡くなりになりました。そのため、『シルバー假面』は実相寺監督にとって最後の劇場作品となりました。

ストーリー

物語は1920年（大正9年）の東京を舞台に幕を開けます。帝都では、美しき女性ばかりを狙った猟奇的な殺人事件が相次いで発生し、人々を震え上がらせていました。この謎めいた事件の調査を秘密裏に命じられたのが、陸軍大尉・本郷義昭です。彼は、後に日本探偵小説の巨匠となる若き日の友人、平井太郎と共に捜査を進める中で、浅草の劇場「ダンテ」で運命的な出会いを果たします。それは、妖しい魅力を放つ日独ハーフの美女、ザビーネでした。

しかし、二人が劇場を調査中、突如として邪悪なクモのような姿をした宇宙人が本郷に襲いかかります。絶体絶命の危機に現れたのは、ザビーネ。彼女は、神秘的な力を持つといわれる「ニーベルンゲンの指輪」を用いて、銀色の超人「シルバー假面」へと変身し、宇宙人を撃退します。

ザビーネは、自分がドイツ人の母エリスと日本の文豪・森鷗外の間に生まれたこと、そして自らの哀しい過去を背負いながら、一度も会ったことのない父を探し求めてドイツから遥々やって来たことを本郷たちに打ち明けます。彼女が変身に用いる指輪は、想像を絶するほどの力を秘めていると言われています。こうして、シルバー假面となったザビーネ、そして本郷と平井太郎は、狂科学者カリガリ博士とその配下である様々な怪物や宇宙人、さらには冷酷な鋼鉄のアンドロイドとの壮絶な戦いに巻き込まれていくことになります。

備考

シルバー假面のマスクデザインは、旧作テレビシリーズでも手掛けた巨匠・池谷仙克氏が担当。実際の造型は原口智生氏、スーツ制作は竹田団吾氏が行いました。特にマスクには鹿革が使用され、大正ロマン溢れる独特の質感が表現されています。

また、全編を通して、俳優の寺田農氏が無声映画の弁士のように、作品世界への没入感を高める見事な語りを披露しています。

DVD版では、本編では描かれなかったシーンや要素も含まれています。例えば、VOL.2ではザビーネが敵対するカリガリ博士に対して、自身の母の幻影を見せられたことへの感謝を述べ、博士を困惑させる一幕が描かれています。VOL.3には、ドイツの書記官として若き日のアドルフ・ヒトラーが登場するという意表を突く展開も盛り込まれています。

主要キャスト

本郷義昭陸軍大尉：渡辺大
ザビーネ / シルバー假面：ニーナ（内田仁菜）
平井太郎（のちの江戸川乱歩）：水橋研二
カリガリ博士：石橋蓮司
弁士：寺田農

主要スタッフ

総監修：実相寺昭雄
原案：佐々木守、実相寺昭雄
監督：実相寺昭雄 (第壱話) 他
脚本：中野貴雄、小林雄次
キャラクターデザイン / 美術監督：池谷仙克
造型：原口智生
コスチューム制作：竹田団吾

（参考文献：『宇宙船YEAR BOOK 2007』）

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