シレ (潜水艦・初代)

シレ（Scirè）

シレは、第二次世界大戦中にイタリア海軍で使用された潜水艦です。1930年代に建造されたアデュア級潜水艦の一隻で、艦名はイタリア領東アフリカに存在したシレという都市に由来します。

艦歴

1938年1月6日にラ・スペツィアのOTO造船所で進水し、同年4月25日に就役しました。開戦時は、ラ・スペツィアを拠点とする第15部隊に配属され、地中海での哨戒任務に従事しました。

1940年7月10日には、サルデーニャ島北部沖でフランスの貨物船「Cheik」を撃沈しました。この後、シレは、特殊作戦用の人間魚雷「マイアーレ」を搭載できるよう改修工事を受けました。

改修では、司令塔が小型化され、甲板砲が撤去されました。また、マイアーレを収容するための3つの水密シリンダーが甲板に取り付けられました。これらのシリンダーはそれぞれ2.8トンの重量があり、最大潜航深度は90メートルに制限されました。

1940年9月24日、ユニオ・ヴァレリオ・ボルゲーゼ艦長の指揮下、ジブラルタルでの最初の特殊作戦のために出撃しましたが、攻撃目標であったイギリス海軍のH部隊が地中海を離れたため作戦は中止となりました。

1940年の後半には、シレはジブラルタル湾を攻撃し、3本のマイアーレを発進させましたが、戦果は上がりませんでした。しかし、1941年9月20日、再びジブラルタル湾を攻撃し、3隻のタンカーを攻撃、うち1隻を沈没させ、2隻に損傷を与えました。

イタリア海軍は、スペインに拠点を置き、オルテラという船を破壊工作活動の拠点としました。

アレクサンドリア港攻撃

シレは、敵海域での数々の任務を遂行しましたが、最も重要なのは1941年12月3日に開始された作戦でした。

シレは3つの人間魚雷を携えラスペツィアを出港し、エーゲ海のレロス島でフロッグマン部隊と合流、エジプトのアレクサンドリア港沖に到着しました。

12月19日、マイア―レ部隊を発進させ、戦艦ヴァリアント、戦艦クイーン・エリザベス、タンカー1隻、駆逐艦ジャーヴィスを大破させるという大きな戦果を挙げました。

このアレクサンドリア港攻撃は、第二次世界大戦における特殊作戦の中でも最も成功した作戦の一つとして知られています。

沈没

1942年8月10日、シレはハイファ湾をマイア―レ部隊で攻撃する任務を実行中に、イギリス海軍のトロール船「アイラ」によって攻撃を受けました。シレは短時間浮上しましたが、その際に沿岸砲の砲撃を受けて沈没しました。

現在

水深32メートルの海底に沈んだシレの残骸は、人気のダイビングスポットとなっており、またイスラエル国防軍のシャイェテット13部隊の訓練場所としても使用されています。

1984年には、イタリア海軍とイスラエル海軍の共同式典が行われ、艦首部分が引き揚げられイタリアに返還されました。

脚注

[脚注について]

関連項目

イタリア海軍艦艇一覧

外部リンク

SUB.net Italia - Sciré missions
* Coastal submarines: Adua class

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