シログチ

シログチ（Pennahia argentata）

シログチ、またの名を白愚痴や白口と呼ばれるこの魚は、スズキ目ニベ科に属する海水魚です。英語ではSilver croakerやWhite croakerなどと称されることもありますが、特にその体色が純白に近いため、シログチという名が付けられています。全長は約40センチメートルに達し、見た目の美しさから釣りの対象魚としても人気があります。

特徴と鳴き声

シログチはその独特の声でも知られており、釣り上げられた際や、産卵期になると浮き袋を振動させて「グーグー」という音を出します。この鳴き声がまるで愚痴を言っているかのように聞こえることから、別名「グチ」とも呼ばれています。体色は銀白色で、特徴的な小黒の斑点は体側に見られることはありません。そのため、漁師や釣り人たちにとって、この魚は一目で見分けがつきやすい存在となっています。

過去には、ニベ科の魚類は耳石（平衡石）が非常に大きく目立つため、「イシモチ」という名前で呼ばれることが一般的でした。しかし、流通の過程において、シログチが「イシモチ」と称されることもあります。さらに、同じニベ科のニベとシログチは混同されやすく、注意が必要です。実際、 シログチと他の種類の似た魚との違いは、耳石の形状や大きさだけでなく、体色や生息する環境にわずかながら現れることがあるため、識別が求められます。

生態と分布

シログチは宮城県以南から日本海、朝鮮半島の西側、渤海や黄海に広く分布しています。彼らは内湾から大陸棚の砂泥底に生息し、エビ類やシャコ、小型の魚類などを好んで捕食します。産卵は初夏から夏にかけて行われ、仔稚魚は沿岸の水深2〜5メートルほどの浅い場所で見られます。また、河口域でもよく観察されることがあるため、地域ごとに生息環境に適応していることが窺えます。

近縁種

シログチは、Pennahia属に属する多くの近縁種を持っています。これには、ビッグアイクローカーとして知られるPennahia aneaや、タイワンシログチのPennahia macrocephalus、パワッククローカーのPennahia pawakなどが含まれます。これらの魚は同じ属に属していますが、それぞれ異なる外観や生態を持っています。

利用と料理

シログチは、春から秋にかけて行われる胴付き仕掛けの投げ釣りや、通年での船釣りの非常に重要な対象魚です。彼らは白身魚であり、その肉質は魚肉練り製品の原料としても重宝されています。調理方法としては、塩焼きなどの焼き物が一般的であり、その身は軟らかく小骨が多いため、煮付けや鍋にすると食べにくいとされています。

特に、秋から冬にかけて脂が乗ったシログチは新鮮な状態で刺身として提供されることが多く、料理人や釣り人にとっては一品料理として珍重されます。ただし市場に出回るものは野締めされてから一日以上経過したものが多く、脂に臭みが出ることがあるため、刺身には向かないことが多いのが現状です。

韓国ではシログチ（韓国名：ボグチ）が最も多く漁獲されており、釣りは非常に人気があります。現地の料理文化においても、シログチは重要な食材として知られており、その味わいは多くの人々に愛されています。

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