シンガポールの歴史

シンガポールの歴史：交易拠点から独立国家へ

シンガポールの歴史は、古くは3世紀の中国文献に「Pu-luo-chung」として記述が見られるほど長く、数多くの出来事が刻まれています。7世紀頃にはテマセックとして知られる漁村となり、戦略的な立地から様々な船舶が行き交う国際的な交易拠点へと発展しました。14世紀にはマジャパヒト王国の支配下に入り、王朝栄華物語や島夷誌略といった文献にもその名が記されています。この時代、テマセックは海賊も住む危険な場所でもあったようです。

14世紀末には、「ライオンの町」を意味するサンスクリット語のシンガプーラという名称が定着し、これが現在の国名の由来となっています。シンガプーラの名称の由来には諸説ありますが、シンガポールではスマトラ島からの王子サン・ニラ・ウタマによる建国にちなむという説が一般的です。

その後、マジャパヒト王国での内戦を逃れたパレメスワラがシンガプーラの王を殺害。これにより、マジャパヒト王国とアユタヤ朝の間でマレー半島の覇権を巡る争いが激化しました。パレメスワラは1402年、マラッカ王国を建国し、シンガプーラを支配下に置きました。

1511年、マラッカ王国はポルトガルの侵略を受け滅亡。生き残った王族はジョホール王国を建国し、シンガプーラもその支配下に入りました。しかし、17世紀初頭にはポルトガルによって交易基地が破壊され、シンガポールはその後約200年間、忘れられた存在となりました。

1819年、イギリス東インド会社のトーマス・ラッフルズがシンガポール島に上陸。ラッフルズはシンガポールの地理的優位性を認識し、ジョホール王国から商館建設の許可を得て、都市化を進めました。無関税の自由港政策も奏功し、シンガポールは急速に発展。1826年にはイギリスの海峡植民地となり、1832年にはその首都に定められました。

イギリス植民地時代、シンガポールは東西交易の中継地として繁栄しました。インドやオーストラリア、中国などとのアヘンや茶などの貿易が盛んになり、マレー半島産天然ゴムやスズの積み出し港としても機能しました。この頃、中国南部、インド、インドネシアなどから多くの移民が流入し、現在の多民族国家の基礎が築かれました。1869年のスエズ運河開通は、シンガポールの繁栄をさらに加速させました。

しかし、イギリスによる植民地支配は、マレー人を中心とする在来住民や移民労働者の不満を招きました。1876年にはシンガポール華僑による暴動も発生しています。20世紀に入ると、独立運動の高まりが見られるようになりました。

1941年12月8日、太平洋戦争が開戦。日本軍はシンガポールを空襲し、イギリス軍を撃破。シンガポールは日本軍の占領下に入り、「昭南島」と改名されました。日本軍による軍政下では、厳しい統治が行われ、シンガポール華僑粛清事件といった悲劇も発生しました。犠牲者数は諸説あり、未だに確定していません。この事件は戦後も、シンガポールと日本間の大きな問題として残っています。また、イタリア海軍の潜水艦が一時的にシンガポールに基地を置いていたという特異な事実も残っています。

[1945年]]8月、日本の敗戦によりイギリスによる植民地支配が回復。しかし、独立への機運は依然として高く、独立運動は継続されました。1959年6月にはイギリスの自治領となり、1963年にはマレーシアを結成しました。しかし、マレーシア政府とシンガポール人民行動党]との間の対立が激化。[[1964年には人種暴動も発生しました。

最終的に、1965年8月9日、シンガポールはマレーシア連邦から分離独立し、シンガポール共和国となりました。リー・クアンユー初代首相の涙の独立宣言は、国民に深い印象を与えました。シンガポール建国から独立までの道のりは、長く複雑な歴史であり、現代シンガポールの繁栄の礎を築いた重要な時代です。

もう一度検索