シングル文庫

山本正之シングル文庫

『山本正之シングル文庫』は、多岐にわたる音楽活動を展開してきた山本正之がプロデュースしたシングルCDシリーズです。アルバムやライブで少しずつ楽曲を発表してきた山本でしたが、未発表の作品が多数存在していました。

そこで、埋もれさせるには惜しい未発表作品や、ファンの間で人気がありながらアルバムに収録されていなかった楽曲などを集め、シングルCDとして連続リリースしたのがこの『シングル文庫』です。

特徴

文庫本のような手軽さ: 『文庫』と名付けることで、他のシングルCDとの差別化を図り、文庫本のように気軽に手に取ってもらいたいという意図が込められています。
近距離感の再現: ギターをメインとしたシンプルな伴奏にすることで、「ステージ上の作者に接触する程の近距離感」を再現しています。
文庫本風ジャケット: ジャケットは曲タイトルと小さな挿絵のみのシンプルなデザインで、文庫本の「帯」のような解説文付きスペースが設けられています。

リリース

1994年から1996年にかけて、パイオニアLDCから『第一期』として10枚がリリースされました。その後一旦中断し、2001年にマキシシングルとしてベラ・ボーエンタテインメントから『第二期』が2枚発売されました。作詞・作曲・編曲・歌唱は全て山本正之自身が担当しています。

各シングルの紹介

涙のカレーライス

第一期第一弾、1994年5月25日発売
『あああ がらがら どんどんどん』収録の『友情のハムライス』に連なる「ライスシリーズ」の一作
収録曲
涙のカレーライス：カレーライス、特にハウス食品のジャワカレーを好む山本が、その魅力を歌った曲。
笑顔のハヤシライス：『涙のカレーライス』でハヤシライスを揶揄したため、ハヤシライスが抗議に訪れるというユーモラスな内容。
想い出のオムライス：ハヤシライスに続き、オムライスが「仲間に入れてほしい」と訪ねてくる。後半は山本がかつて住んでいた中野坂上の自宅近くにあった美味しいオムライス店が閉店した際の想い出を歌う。

府中捕物控

第一期第二弾、1994年9月22日発売
ALFIEに提供したものの発売中止になった表題作や、昭和40年代に山本が経験した出来事をモチーフにした楽曲を収録。
収録曲
府中捕物控：三億円事件をモチーフにした曲で、ALFIEに提供したものを歌詞を変えてセルフカバー。間奏には「美少女シリーズ」に登場する「博士」の呟きが挿入されている。
下宿町挽歌：学生時代に住んでいた世田谷区の下宿とその周辺を歌った曲。
燃えよドラゴンズ：山本の作曲家デビュー曲である1974年版（板東英二に提供）のセルフカバー。

花火

第一期第三弾、1994年12月21日発売
『飯田線のバラード』にも通じるラブソングを収録。
収録曲
花火：切ない別れと想い出を歌い、「時間よ戻れ」と繋ぐ曲。
ミルクホールワルツ：アルバム『COLORS』に収録されたもののフルバージョン。和泉式部の歌集がモチーフ。
フットライト：やや大人の視点で歌われた曲。間奏には山本の友人である伊原通雄の詩が挿入される。
駅：ライブに来てくれた観客の帰り道の無事を祈る曲。

アニメがなんだ

第一期第四弾、1995年3月22日発売
山本に欠かせない「アニメ」を様々な角度から歌った作品集。
収録曲
アニメがなんだ：『イタダキマン』で主題歌を外された際の怒りや、アニメ業界に感じていた疑問などをぶつけた曲。過去に手掛けたアニメソングの歌詞が一部メドレーで挿入される。
GOGOイソちゃん：アニメ制作会社「有限会社OZ」の社長・磯崎明彦の愛称を冠した曲。磯崎がOZの社歌として山本に依頼したことがきっかけで、『究極超人あ～る』の挿入歌「究極戦隊コウガマン」が制作されることになった。
銀河シャンプーリンスガー：ファンクラブの会誌『檸檬倶楽部』で連載していた『銀河熱風オンセンガー』のヒロインのテーマソング。

就職

第一期第五弾、1995年6月28日発売
別れと旅立ちをテーマとした楽曲を収録。
収録曲
就職：『あああ がらがら どんどんどん』収録の『友情のハムライス』と共に、伊原通雄との想い出を語った曲。
明日からよその人：結婚して家を出る姉への想いを歌った曲。ALFIEに提供した『府中捕物控』のB面に収録予定だった曲のセルフカバー。
銀河号のうた：就職せずに音楽活動で生きていこうとする山本の心情を、夜行列車での一人旅に重ねて表現。
あじさいの花が色をかえた：季節や星の流れに触れ、自身の心の変化を歌った曲。

檸檬倶楽部

第一期第六弾、1995年9月21日発売
酒場とそこに生まれる人間関係をテーマにした楽曲を収録。
収録曲
檸檬倶楽部：かつて存在したファンクラブの会誌『檸檬倶楽部』を酒場に例えて歌った曲。
ばばの酔いうた：劇団を立ち上げ、稽古や本番後の打ち上げに使った高田馬場の酒場の想い出を歌った曲。
黄昏ハイツ：アルバム『マサユキ天国』収録の『卒業すぎて』で歌われた女性の曲。酒場で働いていたこの女性は山本の様々なラブソングの原点。
グッバイあすふぁると：仕事仲間でもあった友人の吉田健美が経営していた酒場「あすふぁると」の閉店に捧げた曲。

銀座のパキラ

第一期第七弾、1995年12月21日発売
アルバム『鐘ノネ響キテ』収録の『銀座のパキラ』の続編を収録。
収録曲
銀座のパキラII 望郷編：都会で咲いていたパキラが故郷である南国に帰ろうと太平洋を渡る。
銀座のパキラIII 新幹線編：東京に戻ってきたパキラが、こだま号に乗って京都まで旅をする。しかし、山本の出身地である愛知県付近ばかりを巡る。
銀座のパキラIV 紐育編：飛行機に乗ってアメリカに渡ったパキラが、ニューヨークを始めとする名所を旅する。

夕焼けの町

第一期第八弾、1996年3月22日発売
山本の小学校時代の想い出を中心に制作された楽曲を収録。
収録曲
夕焼けの町：少年時代の想い出を夕焼けの風景と共に歌った曲。
錦町小学校1年さくら組：育った安城市の錦町小学校の想い出を歌った曲。
菜の花：姉との想い出を歌った曲。後の『明日からよその人』へと繋がるモチーフとなっている。

Jijyの逆襲

第一期第九弾、1996年6月26日発売
アルバム『才能の宝庫』収録の『Jijy』、アルバム『COLORS』収録の『怪人Jijy面相』の続編。
収録曲
Jijyの逆襲：若者の心変わりに嘆く老人たちがクジラの力を借りて現代社会に逆襲する。過去の2曲のサビが繰り返し使われている。

憧れの遣唐使航路

第一期第十弾、1996年9月25日発売
歴史をテーマにした楽曲を収録。初回版には第一期シングル文庫の全曲解説ブックレットが付属。
収録曲
憧れの遣唐使航路：遣唐使をテーマに、「けんとう」にかけたユーモラスな駄洒落を連発。
ああ時代劇：時代劇のヒーローたちの苦労を描いた曲。
明治維新シンフォニー：明治維新に生きた志士たちの裏側を歌った曲。

遥かなる日本酒ライス

第二期第一弾、2001年3月28日発売
『ハムライス』以降の「ライスシリーズ」をまとめて収録。
収録曲
遥かなる日本酒ライス：子供の頃に酔った父親が作った「日本酒ライス」を食べさせられたことがトラウマになっている山本が、大人になってからの様々な付き合いと父親との想い出を歌う。
王様のカツライス：少年時代に高級品だったカツライスへの憧憬を歌った曲。
はばたきのチキンライス：鶏肉が苦手な山本が、チキンライスの味をごまかそうとする様子をコミカルに歌った曲。
花嫁チャーハン：ライスたちがチャーハンに贈り物をあげて嫁入りさせる優しい曲。

サスクハナ号の曳航II

第二期第二弾、2001年9月26日発売
アルバム『サスクハナ号の曳航』の続編。
収録曲
* サスクハナ号の曳航II：過去を振り返り、歌を作る意味を再確認していく内容。

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