シー・ユー・チェン

シー・ユー・チェン

シー・ユー・チェン氏は、日本国籍取得後は立川サイとしても活動する、株式会社シー・アイ・エー (CIA Inc.) の創立者兼Chief Integrating Officerです。また、The Brand Architect Group日本オフィスの創設者でもあります。長年にわたり、企業や空間、都市開発など、多岐にわたる分野で革新的なブランディングを手掛け、日本のクリエイティブシーンを牽引してきた人物です。1947年に北京で誕生し、2014年（平成26年）に日本国籍を取得しています。

経歴

シー・ユー・チェン氏は、北京の裕福な家庭に生まれましたが、5歳の時に両親と共に東京へ移住しました。父親は東南アジア相手の貿易商を営んでおり、香港を経て日本に渡った一家は、田園調布に住居を構えました。彼は田園調布小学校に通い、その後、英語習得のために調布のアメリカン・スクールに転校します。13歳の時に父親を急病で亡くし、母親が投資事業などを通じて一家を支えました。

学生時代には音楽活動に熱中し、コピーバンドから成毛滋氏率いる「ザ・フィンガーズ」にベーシストとして参加。上智大学で学ぶ傍らバンド活動を続けましたが解散し、大学を中退し渡米してヒッピー文化に触れました。帰国後はミュージカル『ヘアー』日本公演に出演しています。

1970年代後半、ファッションブランド、アルファキュービックの米国法人代表となり、27歳で家族とロサンゼルスへ移住。ビバリーヒルズに店舗を構えますが経営が振るわず退社。その後、雑誌『POPEYE』や『BRUTUS』の海外企画に関わる中で、ロサンゼルスに新たなスタイルの空間を創出することを構想し、1980年にレストラン「チャイナクラブ」を開業しました。

アートとアールデコが融合した空間に「ノーテイスト・ノースタイル・ノーサービス」というコンセプトを掲げた「チャイナクラブ」は、アンディ・ウォーホルやキース・ヘリングといった著名人が集まる人気のレストランとなりましたが、約2年で人気が低迷。その後、ワールドの寺井秀藏氏に招かれ、神戸本社ビル内レストランのプロデュースのため帰国します。

東京に戻った彼は、1984年に株式会社シー・アイ・エー（CIA Inc.）を設立。バブル期にはイギリス人建築家ナイジェル・コーツ氏と組み、「メトロポール」や「小樽ホテル」など空間プロデュースを中心に活動。さらに、「ワイルドブルーヨコハマ」といった大規模プロジェクトも手掛けましたが、バブル崩壊により一時事業を縮小します。

バブル崩壊後は、海外企業の日本進出や国内企業のブランド戦略への需要が高まります。1990年代後半から2000年代にかけて、ギャップやナイキの日本展開、ユニクロの上場に向けた戦略、青山フラワーマーケットのブランド構築など、リテールや企業のブランディングで実績を重ねました。

その後も、上島珈琲店、出光興産、三菱東京UFJ銀行といった企業ブランディング、大崎ThinkParkのような都市再開発、Peach Aviationの総合ブランディング（ニール・ディナーリ氏による機体デザイン含む）、サクラクレパス「サクラクラフトラボ」の開発など、多岐にわたる分野でプロジェクトを主導。近年ではNTTのテックシティ開発、相澤陽介氏とのヤマト運輸新ユニフォーム開発など、精力的に活動を続けています。現在、CIA Inc.はDTFTAグループに加わっています。

エピソード

学生時代、プロのベーシストを目指し音楽活動に励み、成毛滋氏らの「ザ・フィンガーズ」に参加した経験があります。

また、松任谷由実氏に「ユーミン」というニックネームを付けた人物としても知られています。これは中国語で「有名」を意味する言葉から来たとされ、後に彼女を作曲家村井邦彦氏に紹介し、レコードデビューのきっかけを作りました。

ファッションデザイナー菊池武夫氏とワールドの提携企画では、西麻布のTAKEO KIKUCHIビル店舗設計において、ナイジェル・コーツ氏と共にプロデュースを手掛けました。

著書

『インプレサリオ』（ダイヤモンド社、2005年刊）

主な受賞歴

1996年、自身の邸宅「龍雲院」（建築家武松幸治氏と共同企画）で東京都建築士会住宅建築賞を受賞。サクラクレパス「SAKURA Craft_Lab」では、文具大賞や日本デザイン賞を受賞しています。

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