ジェイ・アールバスカード

ジェイ・アールバスカード

ジェイ・アールバスカードは、かつてJR北海道バスが導入・発行していた磁気式の乗車カードです。1994年10月14日から利用が始まりました。カードの券面には「JRバスカード」と印字され、発行元を示す「JR北海道バス」の表記も確認できます。特に「JR」のロゴは、JR北海道が当時使用していた萌黄色でJとRが一体となったデザインが採用されていました。デザインにはバス車両の写真やイラストに加え、JR北海道の公式キャラクターである「モジャくん」も描かれており、親しみやすいデザインとなっていました。

このカードは、札幌圏におけるIC乗車カード「SAPICA」の導入・普及に伴い、段階的に利用可能な範囲が縮小され、最終的に全線で利用が終了しました。

歴史と終焉

磁気式バスカードとして導入されたジェイ・アールバスカードでしたが、時代はICカードへと移行します。JR北海道バスの札幌圏路線では、2013年6月22日から共通IC乗車カード「SAPICA」が導入されました。これにより、KitacaやSuicaなど、全国相互利用サービスに対応した10種類のICカードも利用可能となりました。

SAPICA導入に伴い、ジェイ・アールバスカードの札幌圏での取り扱いは段階的に終了しました。まず、一般カードととくとくバスカードを含む全てのジェイ・アールバスカードの札幌圏での発売が2014年9月30日をもって終了。続いて、2015年3月31日をもって札幌圏での利用も不可能となりました。札幌地区での利用終了後は、当該地区のJR北海道バスの各営業所やバスチケットセンター窓口にて、使用終了日から5年間、無手数料での払戻し対応が行われました（ただし、札樽間高速バス共通カードの払戻しは北海道中央バスでのみ実施）。

札幌圏での利用が終了した2015年4月1日以降も、ICカード「SAPICA」の導入予定がなかった日勝線では、一般カードに限り引き続き利用が可能でした（ただし、日勝線を経由する都市間バスでは利用不可）。

SAPICA導入以前や、札幌圏での利用終了以降においても、以下の路線や運行形態ではジェイ・アールバスカードが利用できませんでした。

高速おたる号を除く都市間バス
深名線
ecoバス恵庭循環線
共同運行路線のうち、他社が運行する便
一部の臨時バスや期間限定バス

なお、高速おたる号や日勝線においては、プレミア額が高い「とくとくバスカード」は利用不可でしたが、通常の一般カードは利用可能でした（札幌圏利用終了までは高速おたる号の一般カードも利用可能）。

日勝線はジェイ・アールバスカードが最後まで利用できた路線でしたが、ここでも利用終了の時を迎えます。2021年2月28日をもってバスカードの発売が終了し、2021年3月31日をもって利用も完全に終了しました。日勝線では、バスカードの代替として、2021年3月1日からバス車内での回数券発売が開始されましたが、これも一時的な措置となり、2022年6月1日からは日勝線でもSAPICAが導入され、ICカードでの乗車が可能となりました。JR北海道バスの公式サイトからは、2021年3月の時点で、日勝線におけるバスカードの利用に関する情報が削除されています。

種類と販売額

ジェイ・アールバスカードには、購入金額に対して一定のプレミア額が付加された「一般カード」と、利用時間に制限がある代わりにプレミア額が高い「とくとくバスカード」がありました。

一般カード
1,000円券：1,100円分利用可能
2,000円券：2,200円分利用可能
3,000円券：3,300円分利用可能
5,000円券：5,500円分利用可能
10,000円券：11,500円分利用可能

とくとくバスカード
降車時刻が10時から16時までの間に限って利用可能なカードでした。時刻表上の予定時刻が有効時間内であっても、遅延などにより実際の降車時刻が有効時間外となった場合は利用できませんでした。

2,000円券：2,500円分利用可能（2014年9月30日をもって販売終了）
10,000円券：13,000円分利用可能（2013年11月30日をもって販売終了）

利用方法

利用方法や販売箇所は、利用エリアによって異なりました。

札幌圏での利用
バスに乗車する際に整理券を受け取り、降車時に運賃箱へ整理券を投入した後、カードリーダーにカードを通します。整理券のバーコードを運賃箱が読み取り、カードから運賃が差し引かれる仕組みでした。

日勝線での利用
乗車時と降車時の2回、カードリーダーにカードを通す方式でした。乗車時にカードへ整理券情報が記録されるため、整理券を受け取る必要はありませんでした。

販売箇所

ジェイ・アールバスカードは、バス車内や沿線の主要箇所で販売されていました。

2021年2月まで（日勝線での販売）：日勝線バス車内、様似営業所、様似駅
それ以前（札幌圏など）：札幌駅バスターミナル、新札幌バスターミナル（トラベルセンター窓口や自動販売機）、北海道旅客鉄道（JR北海道）の駅窓口などでも販売されていました。

関連する共通利用カード（札幌圏）

ジェイ・アールバスカードが利用できた札幌圏では、過去に他の交通事業者との共通利用が可能な磁気カードも存在しましたが、いずれも現在は取り扱いを終了しています。

共通ウィズユーカード：札幌市営地下鉄・市電、北海道中央バス、じょうてつバスでも利用可能でした。
札樽間高速バス共通カード：高速おたる号で、JR北海道バスだけでなく北海道中央バスが運行する便でも利用可能でした。

ジェイ・アールバスカードは、JR北海道バスの主要な運賃支払手段の一つとして長年親しまれましたが、交通系ICカードの普及という時代の流れの中で、その役目を終えました。

もう一度検索