日勝線

日勝線

日勝線は、北海道の日高地方と十勝地方を結ぶジェイ・アール北海道バスの主要な自動車路線です。その起源は古く、日本国有鉄道自動車局（国鉄バス）、北海道旅客鉄道（JR北海道）による直営時代を経て、2000年（平成12年）4月からは現在のジェイ・アール北海道バスが運行を担っています。この路線は、かつて計画された鉄道線の先行機能を持ち、日高本線との連携や、近年の日高本線廃止に伴う代替機能など、地域交通の変遷の中で重要な役割を果たしてきました。

歴史と変遷

日勝線の歴史は、1943年（昭和18年）8月に様似や庶野、歌別、襟裳といった地域を結ぶ路線として運行を開始したことに始まります。これは、将来建設予定だった国鉄の鉄道線（苫小牧～帯広間）に先行して開設されたもので、鉄道開業までの役割を担うため、既存の日高自動車を買収してスタートしました。路線名は日高国と十勝国という地域名に由来します。

戦後、路線網は拡大し、地域輸送のほか、1952年（昭和27年）には北海道の国鉄バスで初めて貸切バス事業を開始するなど、事業の多角化も進められました。貨物輸送も行われていましたが、これは1966年（昭和41年）に終了しています。モータリゼーションによる自家用車の普及でバス利用者が減少していく中で、合理化の一環としてワンマン運行化が推進されましたが、道路事情などの課題もあり、全線でのワンマン化完了は1983年（昭和58年）までかかりました。

日高本線廃止と新たな役割

日勝線は、鉄道会社直営のバス路線として、長らく日高本線との連携を重視してきました。時刻表への併記やJR北海道時代の日高本線運輸営業所による直轄など、一体的な輸送体制を目指す取り組みが行われました。しかし、2000年（平成12年）のバス部門分社化により、この体制は解消されます。

近年の最も大きな変化は、日高本線の一部区間（鵡川駅 - 様似駅間）の廃止です。高波被害による不通が長期にわたる中で復旧が困難となり、2021年（令和3年）4月1日に同区間は廃止されました。

これにより、日勝線は日高地域において、廃止された日高本線の主要な代替交通機関という重要な役割を担うことになりました。道南バスとも連携し、「日高地域広域公共バス」として運行体制を刷新。静内への乗り入れ、運行経路の見直し、新しいバス停の設置、速達便の設定などが行われ、地域の生活交通、特に通学や通院といった利用者の利便性向上を図っています。再編後のダイヤについては、利用者からの意見を踏まえ、2022年（令和4年）4月1日に更なる改正が実施されました。なお、庶野から広尾にかけての区間は、現在も地元のえりも町と広尾町から運行委託を受けています。

現在の運行とサービス

現在の一般路線バスは、静内から浦河、様似、えりもを経て広尾に至る区間を中心に運行されており、地域内の様々な系統が組み合わされています。日高本線代替機能として、静内への乗り入れや、廃止された駅近くへの停車なども行われています。

運賃支払いにおいては、2022年（令和4年）6月1日から、SAPICAをはじめとする全国の交通系ICカードが利用可能となり、利便性が向上しました。また、様似停留所での乗り継ぎ割引制度や、地域内の移動や観光に利用できる企画乗車券なども設定されています。

都市間バス

日勝線からは、札幌や苫小牧といった都市と日高・十勝地方を結ぶ都市間高速バス・特急バスも運行されており、地域と都市を結ぶ重要なアクセス手段となっています。

高速えりも号：札幌とえりも駅などを結ぶ路線で、2001年（平成13年）より運行されています。
特急とまも号：苫小牧駅とえりもなどを結ぶ特急バスで、日高本線代替機能強化のため、2021年（令和3年）4月に運行を開始しました。

過去には、札幌と広尾を結んだ「高速ひろおサンタ号」（現在運休中）や、新千歳空港と浦河を結んだ「特急ひだか優駿号」（廃止）なども運行されていました。

えりも駅

えりも町本町にある「えりも駅」は、ジェイ・アール北海道バスの自動車駅です。かつて窓口業務も行っていましたが現在は終了し、駅舎も建て替えられて待合室のみとなっています。しかし、札幌方面への高速バスが発着するなど、現在もえりも町の中心的なバス停留所として機能しています。

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