ジェスロ・タル・ライヴ

ジェスロ・タル・ライヴ：プログレッシブ・ロックの金字塔、初のライブアルバム

1978年、ジェスロ・タルはバンドとして初めてとなるライブアルバム『ジェスロ・タル・ライヴ』（原題：Bursting Out）を発表しました。このアルバムは、1978年5月から6月にかけて行われたヨーロッパツアーの模様を収録しており、バンドの圧倒的な演奏力と魅力が凝縮された作品として高く評価されています。

ツアーと選曲：名曲の数々とライブの熱気

アルバム『逞しい馬』のリリースに伴うツアーから、全日程を8トラック・レコーダーで録音。その中から厳選された演奏が収録されています。具体的な公演日や場所は明かされていませんが、イアン・アンダーソン自身によると、イギリスに戻ってから最高のテイクを選んだとのこと。ただし、アルバムに収録されているクロード・ノブス（モントルー・ジャズ・フェスティバルの創始者）のMCは、ベルン公演での録音だと明かされています。ジェスロ・タルが1972年にモントルーに滞在していた際、ノブスに世話になった縁によるものといわれています。

選曲は、代表曲から、コアなファンにも人気の高い隠れた名曲まで多岐に渡り、ジェスロ・タルの音楽性の幅広さを示すものとなっています。アルバム全体を通して、バンドの圧倒的な演奏力と、ライブならではの熱気、一体感が感じられる仕上がりです。

チャート成績と評価：高い人気と確固たる地位

『ジェスロ・タル・ライヴ』は、イギリスとアメリカの両国で高いチャート成績を記録しました。イギリスでは全英アルバムチャートに8週間ランクインし、最高位17位を記録。アメリカではBillboard 200で15週間ランクインし、最高位21位にまで達しました。

音楽評論家のBruce Ederは、オールミュージックにおいて5点満点中3点を付け、「当時アリーナ・ロックバンドとしての地位を得ていたことを考えれば、驚くほど音質が良く、選曲はグループの歴史における代表曲で固められている」と評しています。この評価からも、このアルバムがジェスロ・タルの代表作の一つとして、高い評価を得ていることがわかります。

リイシューと収録曲：完全版への道

CD化の際には、イギリスやヨーロッパでは2枚組で発売されましたが、アメリカでは収録時間の都合上、「スウィート・ドリーム」、「コナンドラム」、「クォートレイン」の3曲がカットされました。しかし、2004年のリマスターCDでは、全世界で完全版が発売され、ディスク1とディスク2に収録されていたイントロダクションも独立したトラックとして収録されるなど、より完成度の高いものとなりました。

収録されている楽曲は、イアン・アンダーソンが中心となって作られたオリジナル曲がほとんどですが、伝統的な楽曲や他のメンバーが作曲した楽曲も含まれています。各楽曲の演奏時間は様々で、中には10分を超える大作も収録されています。

ディスク1

クロード・ノブスのイントロダクション
ノー・ララバイ
スウィート・ドリーム
スケーティング・アウェイ
緑のジャック
茶色のはつかねずみ
ア・ニュー・デイ・イエスタデイ
フルート・ソロ（メリー・ジェントルメン〜ブーレ）
大いなる森
ジェラルドの汚れなき世界

ディスク2

イアン・アンダーソンのイントロダクション
女狩人
ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる
コナンドラム
天井桟敷の吟遊詩人
クロス・アイド・マリー
クォートレイン
アクアラング
蒸気機関車のあえぎ（ロコモーティヴ・ブレス）
ザ・ダンバスターズ・マーチ

参加ミュージシャン：個性豊かなメンバー

イアン・アンダーソン (ボーカル、フルート、アコースティックギター)
マーティン・バー (エレクトリックギター、マンドリン、マリンバ)
ジョン・エヴァン (ピアノ、シンセサイザー、オルガン、アコーディオン)
ジョン・グラスコック (ベース、エレクトリックギター、バッキングボーカル)
バリモア・バーロウ (ドラムス、グロッケンシュピール)
デヴィッド・パーマー (シンセサイザー、オルガン)

これらのメンバーの個性が融合し、ジェスロ・タル独特のサウンドを作り上げています。このアルバムは、彼らの高い音楽性を示すだけでなく、ライブパフォーマンスの素晴らしさも伝える、まさに傑作といえるでしょう。

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