ジェフ・ホーナセック

ジェフ・ホーナセック：冷静沈着なシューター、指導者

ジェフリー・ジョン・ホーナセック（Jeffrey John Hornacek）は、1963年 5月3日、アメリカ合衆国イリノイ州エルムハーストに生まれました。元プロバスケットボール選手であり、引退後は指導者としても活躍しました。NBAのユタ・ジャズなどでシューティングガードとして活躍し、その正確なシュートと冷静なプレースタイルで多くのファンを魅了しました。

大学時代：努力で掴んだスターへの道

ホーナセックは、1981年にアイオワ州立大学に入学。当初は奨学金もスカウトによる入部の保証もない、いわば一般学生でした。しかし、彼は自らバスケットボール部に入部を志願し、努力を重ねて才能を開花させました。高校のバスケットボールコーチの息子として培った基礎と、持ち前のバスケットボールセンスで、ホーナセックはビッグエイトカンファレンスの選抜チームに選ばれるほどの選手へと成長。1986年にはNCAA男子バスケットボールトーナメントでチームを優勝に導く原動力となりました。特に、ミネアポリスのメトロドームで行われた試合での同点シュート、そして延長戦での26フィートからのジャンプシュートは、1944年以来となるアイオワ州立大学のトーナメント優勝を決定づける劇的な一打となりました。

大学時代の通算665アシストはリーグ記録となり、通算1313得点はアイオワ州立大学史上最多記録として、その名を歴史に刻みました。

NBAキャリア：正確無比なシューターとして

1986年のNBAドラフトで、ホーナセックは2巡目全体46位でフェニックス・サンズから指名を受け、NBAプレーヤーとしてのキャリアをスタートさせました。サンズではスター選手として活躍し、1992年にはNBAオールスターゲームにも出場。しかし、自己最高成績を残したプロ6シーズン目を終えた後、チャールズ・バークレーとのトレードでフィラデルフィア・76ersへ移籍することになります。

シクサーズでは、既にシューティングガードのポジションに選手がいたため、ホーナセックはポイントガードとしてプレイすることになりました。1992-1993年のシーズンには1試合平均6.9アシストという自己ベストを記録しましたが、チームは26勝56敗と大きく負け越してしまいます。1994年 2月24日、ジェフ・マローンとの交換でユタ・ジャズへ移籍。ジョン・ストックトンの隣で、再びシューティングガードとしてプレイすることになりました。

ジャズでは、1997年と1998年にNBAファイナルに出場。しかし、いずれもシカゴ・ブルズに敗れ、準優勝に終わりました。2000年に膝の怪我で引退を余儀なくされるまで、ジャズでプレイを続けました。

引退後：指導者としての新たな道

引退後、ホーナセックの背番号14はユタ・ジャズの永久欠番となりました。2007-2008年のシーズンには、ジャズの特命コーチとしてアンドレイ・キリレンコなどのシュート技術向上に貢献。2008年5月には、シカゴ・ブルズのゼネラルマネージャー、ジョン・パクソンとの面接を受けましたが、家族へのプレッシャーを考慮し、自ら候補を辞退しました。現在は妻と3人の子供と共にアリゾナ州で生活しています。

指導者としては、2011-12シーズンからユタ・ジャズのアシスタントコーチを務め、2013-14シーズンからはフェニックス・サンズのヘッドコーチに就任。プレーオフ進出は逃したものの、レギュラーシーズン48勝34敗を記録し、NBA最優秀コーチ賞の投票では2位にランクインしました。その後、ニューヨーク・ニックスのヘッドコーチも務めましたが、2018年に解任されています。

プレースタイル：冷静さと正確さ

ホーナセックは、ガードの選手としては非常に高いキャリア平均49.6％のフィールドゴール成功率、40.3％の3ポイント成功率、そしてNBA史上トップクラスの87.7％のフリースロー成功率を誇る、優秀なシューターでした。身体能力は特筆すべきものではありませんでしたが、頭脳明晰で高い洞察力を武器に、12年連続で二桁得点をマーク。最終シーズンにはキャリアハイとなる95.0％のフリースロー成功率を達成するなど、引退まで安定した成績を残しました。

1994年11月23日のシアトル・スーパーソニックス戦では、当時のNBA記録となる1試合8連続3ポイントシュートを記録。また、同シーズンにはNBAタイ記録となる11連続3ポイントシュートも決めています。

フリースローの名手としても知られ、フリースロー前に3回頬を摩るルーティンは彼のトレードマークとなっていました。ホーナセック自身は、この動作を3人の子供への挨拶だと説明しています。

ジェフ・ホーナセックは、その冷静なプレースタイルと正確なシュートで、多くの人々に感動を与えた名選手であり、指導者としてもその手腕を発揮し続けています。

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