ジェミニ3号

ジェミニ3号の概要

ジェミニ3号（Gemini 3）は、アメリカ合衆国の有人宇宙飛行プログラムであるジェミニ計画において、初の有人打ち上げを達成した宇宙船です。この宇宙船は、1965年3月23日に打ち上げられ、宇宙探査の新たな一歩を刻みました。

背景

ジェミニ計画は、宇宙飛行の能力を拡張する目的で設計された一連のミッションで構成されています。これまでに無人での試験を経て、ジェミニ3号は初めての有人ミッションとしての役割を持つことになりました。そのコールサインは「モーリー・ブラウン」とされ、これは映画『タイタニック』に登場する不沈の女性に由来しています。この名称は、前の飛行であるマーキュリー・レッドストーン4号の事故を繰り返さないことを願って選ばれました。

打ち上げと軌道試験

ジェミニ3号は、1965年3月23日14時24分（UTC）にフロリダ州ケープカナベラルの発射台LC-19からタイタンII GLVロケットによって打ち上げられました。打上げ後約5分半で軌道に入り、宇宙船はその能力を試験するために設計された一連の実験を行いました。最初の試験では、スラスターにわずかな不調が見られましたが、全体的には順調に進行し、宇宙船は3周の軌道周回を成功させました。

当初の軌道は、遠地点が224.2km、近地点が161.2kmで、周期は約88.3分でしたが、軌道変更によって169kmから158kmに変わり、その後の調整で近地点が72kmまで降下しました。この結果、逆噴射を行わなくても大気圏再突入が可能な状態が実現しました。

宇宙食問題

飛行中には宇宙食の摂取が計画されていましたが、パイロットのジョン・ヤングが無断でサンドイッチを持ち込んで食べる事件が発生しました。この行為は宇宙船内でのパンくずの飛散によって機器障害を引き起こす可能性があり、問題視されました。しかし、食事が宇宙飛行士の士気に及ぼす影響を考慮し、この事件は宇宙食のメニュー改善という重要な成果に繋がりました。

着水と回収

ジェミニ3号は、フロリダ半島沖の西大西洋に着水しましたが、予定より約110km離れた地点での出来事でした。着水時には姿勢が不安定で、回収には時間がかかりましたが、乗員はアメリカ海軍の航空母艦イントレピッドに搭載されたヘリコプターによって無事に回収されました。また、アメリカ国防総省はこのミッションをサポートし、約10,185名の人員と126機の航空機、27隻の艦艇が投入されました。

現在

現在、ジェミニ3号はグリソムの故郷であるインディアナ州スプリング・ミル州立公園にあるグリソム記念館で展示されています。このミッションは、宇宙探査における重要なステップとして多くの人に記憶されています。

乗員

• - 船長: ガス・グリソム
• - パイロット: ジョン・ヤング

予備搭乗員としてウォーリー・シラー、トーマス・スタッフォードが名を連ねていました。元々はアラン・シェパードが船長の予定でしたが、内耳疾患により彼は途中で交代しました。

このジェミニ3号のミッションは、後の宇宙探査に向けた貴重な実験と知見を提供し、アメリカの宇宙計画を支える基盤となりました。

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