ジェリー・ローリングス

ジェリー・ジョン・ローリングス：ガーナの変革者

ジェリー・ジョン・ローリングス（1947年6月22日 - 2020年11月12日）は、ガーナ共和国の第8代および第10代国家元首であり、第4共和政の初代大統領を務めた人物です。ガーナの激動の時代を牽引し、その政治手腕と国民からの支持により、現代ガーナの歴史に深い足跡を残しました。

生涯と政治的台頭

アクラで生まれたローリングスは、ガーナ空軍の大尉でした。1979年、彼は軍事クーデターを主導し、当時のフレッド・アクフォ軍事政権を打倒。軍事革命評議会(AFRC)の議長に就任し、第8代国家元首となりました。しかし、ローリングスは速やかに民政移管を行い、ヒラ・リマン大統領に政権を委譲しました。

しかし、リマン政権は機能不全に陥り、経済の停滞が続きました。これを受け、ローリングスは1981年に再びクーデターを決行。今度は長期にわたる軍事政権を樹立することになります。

経済改革と民主化

当初、社会主義を志向していたローリングスでしたが、1983年以降は構造調整政策へと転換。この政策により、ガーナ経済は年率5%程度の安定成長を達成し、政情も安定しました。この経済的成功が、彼の政権を支える大きな要因となりました。

1992年、ローリングスは民主化を推進し、複数政党制を導入しました。大統領選挙では、政情の安定と経済発展が評価され、第4共和政の初代大統領に選出されました。1996年の選挙でも圧倒的な支持を得て再選を果たしましたが、憲法の規定により三選は禁じられていたため、2000年の大統領選挙には出馬しませんでした。

2020年11月12日、ローリングスは首都アクラの病院で73歳で生涯を閉じました。

政治姿勢と影響

ローリングスの政治姿勢は、軍部出身でありながら、エリートや階級構造、政府高官の汚職や腐敗を批判するポピュリズム的なものでした。彼は大統領在任中、「民衆がエリートに押しつぶされたなら、軍隊は民衆に自由を与えるべきだ」と述べています。

白い服をまとい、大柄な体格に顎髭、サングラス姿で住民と話し合う彼の姿は、「よく響く太い声でクマのような大男」と形容され、その親しみやすさから国民に愛されました。ローリングスの思想と行動は、ブルキナファソの革命家トーマス・サンカラや、ギニアの暫定大統領であるママディ・ドゥンブヤにも影響を与えたと言われています。

政策

ローリングス政権は、クワメ・エンクルマが推進した反帝国主義的な外交政策を継承し、反米的な姿勢を示しました。内政面では、当初は左派的な政策を実施しましたが、1983年以降は構造調整やIMFからの借款によって経済の立て直しを図りました。

ジェリー・ジョン・ローリングスは、ガーナの歴史における重要な転換期を主導し、その後の発展の基礎を築いた人物として、記憶されることでしょう。

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