ジェームス・ハチンソン

ジェームス・"ハッチ"・ハチンソン：音楽界を支える名セッション・ベーシスト

ジェームス・"ハッチ"・ハチンソン（James "Hutch" Hutchinson、1953年1月24日生まれ）は、アメリカを代表するセッション・ベーシストの一人です。特にボニー・レイットとの長年のコラボレーションで広く知られていますが、その活動は多岐にわたり、数多くの著名アーティストのレコーディングやライブに参加しています。

生い立ちと音楽との出会い

ハチンソンはマサチューセッツ州リンで生まれ、ケンブリッジとサマービルで育ちました。幼少の頃から音楽に親しみ、様々な楽器に触れる中で、12歳の時にウィルソン・ピケットのバンドを目の当たりにし、ベースギターに心を奪われます。以降、ベースに専念し、高校時代にはニューイングランド地域の様々なバンドで演奏する機会を得て、音楽家としてのキャリアをスタートさせました。

サンフランシスコ、そして数々の出会い

高校卒業後、ハチンソンは母親のすすめでサンフランシスコに移り住みます。そこでクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスのジョン・シポリーナや、グレイトフル・デッドのミッキー・ハートといったミュージシャンと出会い、ミッキー・ハートの牧場でのセッションに参加したり、シポリーナのバンド「カッパーヘッド」に加入するなど、音楽活動を本格化させていきます。1973年にはカッパーヘッドとしてアルバムを録音し、その後、リンク・レイのバンドでカッパーヘッドのドラマー、デヴィッド・ウェバーと共演するなど、着実にキャリアを積み重ねていきました。

グアテマラ、そしてニューオーリンズへ

グアテマラでの生活を経て、ハチンソンは中央アメリカのスタジオで活動した後、ヴァイオリニストのシド・ペイジとラテンジャズ・フュージョン・グループ「ザ・ポイント」を結成。バンドは1977年のオースティン・ミュージック・アワードで「今年のジャズ・グループ」を受賞します。また、共通の友人からミーターズを紹介されたことがきっかけで、ニューオーリンズへと拠点を移し、ネヴィル・ブラザーズ・バンドに参加することになります。

ボニー・レイットとの出会い、そして現在

1981年のローリング・ストーンズのツアーにネヴィル・ブラザーズとして参加した際、キーボード奏者のイアン・マクレガンと親交を深めます。そのイアン・マクレガンの紹介で1982年にボニー・レイットと出会い、1983年にロサンゼルスに移住。ツアー直前にベーシストが脱退したボニー・レイットのバンドに加入して以来、現在に至るまで、彼女の音楽活動を支え続けています。アルバム『ナイン・ライヴズ』以降、ボニー・レイットのすべてのレコーディングに参加しており、その安定した演奏と音楽性は、ボニー・レイットのサウンドに欠かせない要素となっています。

多岐にわたるセッション活動

ボニー・レイットとの活動と並行して、ハチンソンは数多くのアーティストのレコーディングやライブに参加しています。ウィリー・ネルソン、ジョー・コッカー、ライアン・アダムス、ブライアン・アダムス、ジャクソン・ブラウン、アル・グリーン、B.B.キング、リンゴ・スター、ジギー・マーリーなど、ジャンルを超えた幅広いアーティストとの共演は、彼の音楽性の幅広さを物語っています。

1992年には、ローリング・ストーンズのアルバム『ヴードゥー・ラウンジ』のデモ演奏に参加し、その才能が「ニューヨーク・ポスト」紙で「ローリング・ストーンズの新しいベースのヒット」と評されるなど、高い評価を得ています。

2006年には、ジェリー・リー・ルイスのアルバム『ラスト・マン・スタンディング』のレコーディングに参加し、その後も様々なアーティストの作品に参加。また、自身のバンドでの活動や、他のミュージシャンとのコラボレーションも積極的に行っています。

ハチンソンは、その卓越した演奏技術と音楽への深い理解、そして多様なジャンルに対応できる柔軟性によって、音楽界を支える重要な存在となっています。彼のベースラインは、数多くの名曲に彩りを与え、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

影響を受けたアーティスト

ポール・チェンバース、チャールズ・ミンガス、リチャード・デイヴィス、チャック・レイニー、カール・レイドル、ファン・フォルメル、カチャオ、リック・ダンコ、アストン・バレット、ジョージ・ポーターJr.、ジャック・キャサディ、ジョン・エントウィッスル、キャロル・ケイ、ジェームス・ジェマーソン

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