ジャガー・XJR-10

ジャガーXJR-10：IMSA GT選手権を彩った名車

ジャガーXJR-10は、1989年から1991年にかけて活躍した、トム・ウォーキンショー・レーシング（TWR）が開発したプロトタイプレーシングカーです。そのベースとなったのは、前年に活躍したXJR-9。XJR-10は、世界スポーツプロトタイプカー選手権（WSPC）に参戦したXJR-11と設計思想を共有する、いわば兄弟車と言える存在でした。

設計と開発

シャシー設計はトニー・サウスゲートの手によるもの。基本的な構造はXJR-9とほぼ同じで、エンジン搭載部のみが変更されたモノコック構造を採用していました。サスペンションもXJR-9と共通の設計でした。心臓部となるエンジンは、MG・メトロ6R4に搭載された自然吸気V6エンジンをベースに、ジャガーとTWRの合弁会社であるジャガースポーツがツインターボ化。IMSA規定に合わせ、排気量は3.0Lに抑えられました。エンジンの制御にはザイテック製のマネージメントシステムが採用されていました。タイヤは1989年はダンロップ、1990年からはグッドイヤーを使用していました。

レース戦績と進化

XJR-10は1989年シーズン第5戦ライムロックでデビュー。いきなり2位入賞を果たし、その潜在能力の高さを示しました。その後、第10戦ポートランドで初優勝を飾りますが、マシン開発には時間がかかり、シーズン終盤には、信頼性の高いXJR-9に回帰する場面もありました。しかしながら、最終戦デル・マーで2勝目を挙げ、シーズンを終えました。

1990年シーズンは、ライムロックとポートランドで優勝を飾りますが、日産やトヨタ勢の前に苦戦。チャンピオン獲得とはなりませんでした。1991年シーズンには、ウェスト・パームビーチとマイアミで優勝を収めましたが、その後は、XJR-10の後継車となるXJR-16にその役割を受け継がせることになります。

XJR-10の技術的特徴

XJR-10は、XJR-9の進化型として、高い空力性能と優れたハンドリング性能を兼ね備えていました。ツインターボV6エンジンは、高出力と高い信頼性を両立しており、レースで勝利するために必要な要素をバランスよく備えていたと言えるでしょう。また、チームTWRの熟練した技術陣による緻密なセッティングも、XJR-10の成功に大きく貢献しました。

まとめ

ジャガーXJR-10は、IMSA GT選手権の歴史に名を刻んだ名車です。優れた技術と、TWRチームの努力によって生み出されたこのマシンは、高い戦闘力と魅力的なデザインで、多くのファンを魅了しました。その活躍は、レーシングカーの歴史においても重要な位置を占めていると言えます。XJR-9をベースにしながらも、ツインターボエンジン搭載によるパワーアップや、レースでの経験に基づいた改良が重ねられ、進化を遂げたXJR-10。その存在は、ジャガーのモータースポーツ史における輝かしい一ページを飾っています。

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