ジャニコロ

ジャニコロの丘：ローマを見晴らす歴史の舞台

ジャニコロの丘（Gianicolo, Janiculum）は、ローマ市街の西側に位置する丘で、「現代のローマ七丘」の一つとして知られています。テヴェレ川の西岸、ヴァチカンの丘の南に位置し、トラステヴェレ地区の一部とされることもありますが、独立した丘として扱われることもあります。トラステヴェレの中心部から見ると、北または西に位置しており、古代においてはトラステヴェレ全体がヤニクルムと呼ばれていました。

標高88メートルのこの丘からは、ローマ市内を一望でき、その美しいパノラマは多くの人々を魅了しています。ローマの歴史においても重要な役割を果たしており、王政ローマ時代にはヌマ・ポンピリウス王の墓があったとも伝えられています。古代からローマの一部でしたが、17世紀にウルバヌス8世によってジャニコレンシ城壁が建設されるまで、完全にローマ市内の土地とはなりませんでした。

古代からの歴史

古代には、この丘から海まで続く道が通っていたとされています。ウィッテリアという名前の道路が海まで続いていましたが、この道に関する資料はほとんど残っていません。紀元前508年のローマ包囲戦では、この丘もエトルリア軍に占領されたという歴史があります。4世紀頃からローマに水車が普及し始め、550年の記録によると、当時のローマの水車はこの丘で集中して管理されていたことがわかっています。

キリスト教とジャニコロの丘

ジャニコロの丘は、聖ペテロが殉教した地としても知られており、その記念としてサン・ピエトロ・イン・モントリオ教会が建てられています。この教会は、キリスト教徒にとって非常に重要な場所となっています。

ジャニコロの丘の見どころ

ジャニコロの丘には、歴史的な建造物や美しい庭園、記念碑などが数多く存在します。主な見どころとしては以下のようなものがあります。

ヴィラ・ファルネジーナ: ルネサンス期の美しい別荘で、内部にはラファエロのフレスコ画が残されています。豪華な装飾と美しい庭園が見どころです。
ガリバルディ広場 (Piazzale Garibaldi): イタリア統一の英雄ジュゼッペ・ガリバルディの像が立つ広場です。広場からはローマの街並みを一望できます。
パオラの泉 (Fontana dell'Acqua Paola): バロック様式の壮大な噴水で、丘の頂上に位置しています。その美しい姿は訪れる人々を魅了します。

古代ローマの七丘

ローマには、「ローマの七丘」と呼ばれる丘がいくつかあります。これらはローマの歴史において重要な役割を果たしてきました。

初期ローマの七丘: ローマ都市成立以前に人が定住したと伝えられる丘で、オッピウス（オッピオ）、パラティウム（パラティーノの東側）、ウェリア（ヴェーリア）、ファグタル（オッピオの一部）、ケルマルス（パラティーノの西側）、カエリウス（チェリオ）、キスピウスの7つです。
都市ローマの七丘: 都市ローマの起源となった丘で、アウェンティヌス（アヴェンティーノ）、カピトリヌス（カンピドリオ）、カエリウス（チェリオ）、エスクイリヌス（エスクイリーノ）、パラティヌス（パラティーノ）、クイリナリス（クイリナーレ）、ウィミナリス（ヴィミナーレ）の7つです。
現代のローマ七丘: 現代において「ローマ七丘」として数えられている丘で、アウェンティヌス（アヴェンティーノ）、カピトリヌス（カンピドリオ）、パラティヌス（パラティーノ）、クイリナリス（クイリナーレ）、ホルトゥロルム（ピンチョ）、ヤニクルム（ジャニコロ）、オッピウス（オッピオ）の7つです。

ジャニコロの丘は、その歴史的な背景と美しい景観から、ローマを訪れる際には外せない観光スポットの一つです。丘の上からはローマ市街を一望でき、その壮大な景色は訪れる人々を魅了します。歴史と文化、そして美しい風景が織りなすこの丘をぜひ訪れてみてください。

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