ジャネール・モネイ

ジャネール・モネイ：多才なアーティストの軌跡

ジャネール・モネイ（Janelle Monáe, 1985年12月1日 - ）は、アメリカ合衆国出身のシンガーソングライター、音楽プロデューサー、俳優、モデルとして幅広く活躍するアーティストです。彼女は、自身の音楽活動において、シンディーというオルターエゴに基づいたコンセプトアルバムを制作し、その独創的な世界観で高い評価を得ています。また、俳優としても映画やテレビドラマに出演し、その演技力も高く評価されています。

生い立ちと音楽への目覚め

モネイは、カンザス州カンザスシティで、清掃員の母親とトラック運転手の父親の間に生まれました。幼い頃から歌手やパフォーマーになることを夢見ており、初期の音楽的な影響として、映画『オズの魔法使い』の主人公ドロシー・ゲイルを挙げています。成長後、演劇を学ぶためにニューヨークに移住し、アメリカン・ミュージカル・アンド・ドラマティック・アカデミーで学びました。

2001年にはジョージア州アトランタに移り住み、そこでアウトキャストのビッグ・ボーイと出会います。また、志を同じくする若手アーティストたちと「ワンダーランド・アーツ・ソサイエティー」を設立しました。2003年には、初のコンパクト盤『The Audition』を発表。商業的な成功は収められなかったものの、後に自身のアルバムに登場する「メトロポリス」というアイデアの原型が垣間見えました。

モネイは、アウトキャストの2006年のアルバム『Idlewild』に収録された楽曲に参加。同年、ビッグ・ボーイの紹介で、ショーン・コムズと出会い、バッド・ボーイ・レコードとの契約に至りました。

音楽活動

デビューと『The ArchAndroid』

2007年、モネイは初のソロアルバム『Metropolis』を発表。2008年には、このアルバムに新曲を追加した『Metropolis: The Chase Suite (Special Edition)』をリリースしました。このアルバムは高い評価を受け、シングルカットされた「Many Moons」はグラミー賞にノミネートされました。2009年には、グウェン・ステファニーらのツアーに同行し、アメリカン・アイドルの最終シーズンでは、モネイの楽曲「Open Happiness」が取り上げられました。

2010年、アルバム『The ArchAndroid』を発表。このアルバムは、前作から続く4幕構成の2幕と3幕にあたります。映画『メトロポリス』を連想させるヴィジュアルも話題となり、批評家からも非常に高い評価を受けました。この作品でモネイは、米国作曲家作詞家出版者協会からヴァンガード・アワードを受賞。2011年には、グラミー賞の最優秀コンテンポラリーR&Bアルバム賞と最優秀アーバン・オルタナティブパフォーマンス賞にノミネートされました。

『The Electric Lady』とその後の活動

2011年、FUN.の楽曲「伝説のヤングマン〜ウィー・アー・ヤング〜」にゲストボーカルとして参加し、全米1位を獲得しました。2012年には、いくつかの音楽フェスティバルに出演し、新曲「Electric Lady」と「Dorothy Dandridge Eyes」を披露。これらの楽曲は、後にアルバムに収録されました。

2013年、アルバム『The Electric Lady』をリリース。全米最高5位を記録し、批評家からの評価も非常に高いものでした。このアルバムには、プリンス、ソランジュ、エスペランサ・スポルディングらがゲスト参加しました。また、人気コスメブランド「Covergirl」の広告塔にも選ばれました。2013年には、iTunesフェスティバルでナイル・ロジャースと、グローバル・シチズン・フェスティバルでスティービー・ワンダーと共演。さらに、テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』にも出演しました。

2014年には、ホワイトハウスで行われたイベント「Women of Soul」に出演し、パティ・ラベル、アリアナ・グランデらと共演しました。年末には、セルジオ・メンデスのアルバムにも参加しました。

ワンダーランド・レコードの設立と女優業

2015年、モネイは自身の独立レーベル「ワンダーランド・レコード」を設立し、新たなアーティストのプロモーションを開始しました。また、シングル「Yoga」を発表しました。

2016年、映画『ムーンライト』と『ドリーム』に出演し、女優としてのキャリアを本格的にスタートさせました。『ムーンライト』は、ゴールデングローブ賞とアカデミー賞で作品賞を受賞するなど、高い評価を得ました。2018年には、3枚目のアルバム『Dirty Computer』をリリースしました。

スタイル

モネイは、キャリア初期から黒のタキシードを着用することで、自身のイメージを確立しました。彼女は、「タキシードは自分のユニフォーム」だと語り、その理由を「自分をキャンバスに見立てたとき、多くの色を使うと混乱してしまうから」と説明しています。また、ロールモデルとしてグレース・ジョーンズとジョセフィン・ベーカーを挙げ、18世紀の古典的な黒と白のパターンを組み合わせることで自身のスタイルを確立していると述べています。さらに、キャリア初期にメイドとして働いていた経験も、自身のスタイルに影響を与えている可能性を示唆しています。

私生活

モネイは、以前インタビューで「付き合う相手はアンドロイドだけ」と答えたことがありましたが、後に「男性であっても、女性であっても惹きつけられる存在でありたい」と宣言し、LGBTQコミュニティを支持することを表明しました。また、自身がバイセクシュアル、パンセクシュアルであると語り、2022年にはノンバイナリーであることも公表しました。

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

Metropolis: Suite I (The Chase) (2007年)
The ArchAndroid (2010年)
The Electric Lady (2013年)
Dirty Computer (2018年)

EP

Metropolis: Suite I (The Chase) (2007年) - 全米115位

出演作品

映画

ムーンライト (2016年)
ドリーム (2016年)


テレビ

サタデー・ナイト・ライブ (2013年)


ジャネール・モネイは、音楽、演技、ファッションなど、様々な分野で独自のスタイルを貫き、常に新しい挑戦を続けているアーティストです。彼女の今後の活躍に、ますます期待が高まります。

もう一度検索