ジャングル・スウィング

山下達郎 シングル「ジャングル・スウィング」詳細解説

1993年10月25日、山下達郎の25枚目のシングル「ジャングル・スウィング」がリリースされました。この楽曲は、日産スカイラインのCMソングとして書き下ろされたもので、後にベストアルバム『TREASURES』と『OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜』にも収録されています。

「ジャングル・スウィング」の特徴は、山下達郎が長年構想していたという“ボ・ディドリー・ビート”を取り入れている点です。自身でベースも演奏するなど、ほぼ一人で制作した、いわばホームレコーディングに近い作品となっています。山下達郎自身も「地味だけど気に入っている」とコメントしており、その独特のサウンドは多くのリスナーを魅了しました。この曲は、山下達郎の不変のテーマである「都市生活者の孤独」を描いた、味わい深い楽曲です。

カップリングには、メドレー形式で「BELLA NOTTE」と「HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS」が収録されています。これらの楽曲は、冬の季節向けアルバム『SEASON'S GREETINGS』からのシングルカットです。

「BELLA NOTTE」は、1955年のディズニーアニメーション映画『わんわん物語』の挿入歌で、イタリアンレストランでデートをする犬たちのシーンで歌われます。山下達郎が幼少期に接したディズニー作品への特別な思い入れから選曲され、一人アカペラでアレンジされています。「ベラ・ノッテ」とはイタリア語で「美しい夜」という意味を持ち、クリスマスの夜からクリスマスの夜へと続く映画のストーリーも、この企画に合致する要素として選ばれました。

一方「HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS」は、1943年の映画『若草の頃』のために作られたクリスマスソングです。ジュディ・ガーランドが歌ったことで有名なこの曲は、山下達郎にとって数多くのクリスマスソングの中でも、メロディーライン、コード進行、構成、歌詞の内容など、全ての点で最も好きな曲だといいます。レコーディングに際し、山下達郎が知っていた歌詞がオリジナルと異なることが判明しましたが、馴染みのある歌詞でそのまま歌われています。この曲は後に、ケンタッキーフライドチキンのCDセットメニューのために制作された『TATSURO YAMASHITA PRESENTS X'mas Songs』にもリマスターバージョンで収録されました。

「ジャングル・スウィング」は、山下達郎の音楽性と制作へのこだわりが凝縮された作品であり、彼の代表曲の一つとして高く評価されています。カップリングのクリスマスソングも、山下達郎の音楽的センスと選曲眼が光る、聴き応えのある内容となっています。これらの楽曲は、現在でも多くのリスナーに愛され続けています。

レコーディング参加者

ジャングル・スウィング: 山下達郎 (ドラムプログラミング、コンピュータプログラミング、エレキギター、アコースティックギター、エレクトリックベース、エレクトリックピアノ、シンセサイザー、パーカッション、バックボーカル)、浜口茂外也 (パーカッション)、佐藤康夫 (ミキシングエンジニア)
ベラ・ノッテ: 山下達郎 (オールヴォイス、インストゥルメント、エフェクト)、吉田保 (ミキシングエンジニア)
ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス: 服部克久 (指揮者)

プロデュース: 山下達郎

収録アルバム:
ジャングル・スウィング：『TREASURES』『OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜』
* ベラ・ノッテ / ハヴ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス：『SEASON'S GREETINGS』『TATSURO YAMASHITA PRESENTS X'mas Songs』

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