ジュラシック・コースト

ジュラシック・コースト：太古の地球が刻まれた、イングランド南部の壮麗な海岸線

イングランド南部のドーセット州とデヴォン州に広がるジュラシック・コーストは、その名の通り、ジュラ紀を含む中生代の地層が断崖絶壁を形成する、世界的に重要な地質学的地域です。2001年にユネスコの世界遺産に登録され、その壮大な景観と豊かな自然史から、多くの観光客を魅了しています。

ジュラシック・コーストの概要

エクスマス近郊のオルコム・ポイントからスワネイジ近郊のオールド・ハリー・ロックスまで、約153キロメートルにわたって続くジュラシック・コースト。その歴史は古く、2億5000万年前の三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の地層が重なり合い、1億8500万年もの地球の歴史を記録しています。西側ほど古い地層、東側ほど新しい地層が露出しており、地質学的な研究にとって絶好の場所となっています。

最も高い地点はゴールデン・キャップの191メートル。断崖絶壁だけでなく、ダードル・ドアの天然橋やラルウォース・コウヴの入り江など、多様な地形が織りなす風景は、訪れる人を圧倒します。チェシル・ビーチは、トンボロと暴風海岸の典型例として地質学的に貴重な存在です。

地質学的価値と化石

ジュラシック・コーストの地層からは、数多くの化石が発見されています。中でも、アンモナイトは豊富に産出され、海岸を散策しながら容易に見つけることができるでしょう。古生物学者メアリー・アニングは、この地でイクチオサウルスやプレシオサウルスの化石を発見し、古生物学の発展に大きく貢献しました。これらの化石は、恐竜と共に巨大な海生爬虫類が繁栄していた太古の地球の姿を私たちに伝えています。

歴史と軍事施設

ジュラシック・コーストは、歴史的にも重要な地域です。第二次世界大戦中は、イギリス軍の重要な拠点となり、特にポートランド・ハーバーは海軍基地として機能していました。現在もボヴィントンには主要な軍事施設があり、一部地域は立ち入りが制限されています。また、この地域は古くから海難事故が多発しており、多くの難破船に関する記録が残されています。2007年のMSCナポリ号の座礁事故は、その象徴的な出来事の一つです。

観光とアクセス

2004年に完成したジュラシック・ピアがあるウェスト湾や、世界遺産ビジターセンターが設置されたウェーマスは、ジュラシック・コーストへの玄関口として重要な役割を果たしています。ウェーマスは保養地としても有名で、夏には多くの観光客でにぎわいます。海岸沿いを散策しながら化石探しを楽しむこともできます。

世界遺産登録基準

ジュラシック・コーストは、世界遺産登録基準(viii)「地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本」を満たす、貴重な自然遺産として認められています。その地層は、地球の歴史、生物の進化、地形の形成過程を理解するための貴重な情報を提供しています。

まとめ

ジュラシック・コーストは、壮大な景観と豊かな地質学的・歴史的遺産を誇る、他に類を見ない場所です。その美しい海岸線と太古の地球が刻まれた地層は、これからも多くの研究者や観光客を魅了し続けるでしょう。

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