ジュリオ・チェザーレ (戦艦)

戦艦ジュリオ・チェザーレ：激動の時代を駆け抜けたイタリア戦艦の生涯

ジュリオ・チェザーレは、イタリア海軍が第一次世界大戦前に建造した弩級戦艦であり、コンテ・ディ・カブール級戦艦の2番艦として知られています。その艦名は、古代ローマの英雄ガイウス・ユリウス・カエサルに由来しています。12インチ砲13門を搭載し、当初は弩級戦艦としてその役割を果たしました。

建造と第一次世界大戦

1910年6月24日にアンサルド社ジェノヴァ造船所で起工されたジュリオ・チェザーレは、1911年10月15日に進水し、1914年5月14日に竣工しました。これは、同型艦のカブールよりも早い完成でした。第一次世界大戦が勃発すると、イタリアは1915年5月24日に参戦。ジュリオ・チェザーレは、ターラント港で艦隊旗艦カブールなどと共に第一戦隊に配備されました。しかし、姉妹艦レオナルド・ダ・ヴィンチが火薬庫事故で爆沈したこともあり、カブール級は大きな作戦に参加することなく、船団護衛やオトラント海峡封鎖任務に従事しました。

戦間期の大改装と練習艦時代

ワシントン海軍軍縮条約により、カブール級は保有を許されましたが、爆沈したレオナルド・ダ・ヴィンチは解体されました。1920年代後半には、ジュリオ・チェザーレは近代化改装を受け、三脚式の前檣が四脚式に改められ、射撃方位盤やフランス製の測距儀が装備されました。その後、練習艦としての任務に就きます。しかし、1930年代に入るとヨーロッパで建艦競争が再燃し、イタリア海軍は既存の戦艦の近代化と新型戦艦の建造を同時に進めることになります。ジュリオ・チェザーレも1933年10月から大改装に入り、1937年10月1日に再就役、高速戦艦へと生まれ変わりました。

第二次世界大戦での活躍

1940年6月10日、イタリアが第二次世界大戦に参戦すると、ジュリオ・チェザーレは地中海での戦いに投入されました。当初は姉妹艦カブールと共に、イギリス地中海艦隊に対抗できる戦力とみなされていましたが、カラブリア沖海戦ではイギリス戦艦ウォースパイトの砲撃を受け、大きな損傷を負いました。しかし、タラント空襲では無傷で生き残り、イタリア海軍の貴重な戦力として活動を続けました。その後もスパルティヴェント岬沖海戦など、数々の海戦に参加しましたが、燃料不足により1942年12月に練習艦兼宿泊艦としての任務に回されました。

終戦とソ連への譲渡、そして謎の沈没

1943年9月8日、イタリアが降伏すると、ジュリオ・チェザーレはマルタ島に回航され武装解除されました。戦後、ソ連はイタリア艦艇の賠償を要求し、ジュリオ・チェザーレは1949年2月にソ連へ引き渡され、「ノヴォロシースク」と改名されました。ソ連海軍では、レーダーや機関砲の換装などの近代化改装が行われました。しかし、1955年10月29日、セヴァストーポリで謎の沈没事故を起こし、多数の乗員が犠牲となりました。事故原因は機雷説が有力ですが、真相はいまだ不明であり、多くの憶測を呼んでいます。

まとめ

ジュリオ・チェザーレは、二つの大戦を生き抜き、数々の海戦を経験した戦艦です。その生涯は、イタリア海軍の歴史における重要な一部であり、技術の進歩と戦争の悲劇を物語る象徴とも言えるでしょう。戦後はソ連に渡り、ノヴォロシースクと名前を変えましたが、その最後は謎に包まれており、多くの人々に語り継がれています。

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