ジュリスベル・グラシアル

ジュリスベル・グラシアル・ガルシア：キューバから日本球界へ羽ばたいた強打の外野手

ジュリスベル・グラシアル・ガルシア。1985年10月14日、キューバ共和国グァンタナモ州グアンタナモ生まれ。類まれな打撃センスと勝負強さで日本プロ野球界を沸かせた、キューバ出身のスター選手です。

キューバでの野球人生

グラシアルは軍人である祖父の影響を受け、中学時代から軍隊学校で寮生活を送りました。ハバナの軍隊学校に進学後も野球を続け、卒業後はマタンサスで軍の仕事をこなしながらナショナルチームにも所属していました。しかし、23歳の頃、仕事と野球の両立に悩み、情熱を注ぐ野球の道を真剣に選択。2009年からキューバ国内リーグでプレーし、才能を磨いていきました。2015年には第1回WBSCプレミア12のキューバ代表に選出。国際舞台での経験も積んでいきます。

カナディアンリーグから日本へ

2016年、グラシアルは独立リーグであるカナディアン・アメリカン・リーグのケベック・キャピタルズと契約。2017年の第4回WBCではキューバ代表として日本戦で菅野智之投手から本塁打を放つなど、存在感を示しました。そして2018年、念願の日本プロ野球入りを果たします。

福岡ソフトバンクホークス時代：黄金期の立役者

福岡ソフトバンクホークスへの加入は、故障で離脱したデニス・サファテ投手の穴を埋める形でした。当初は順調なスタートを切ったものの、5月に左手薬指を骨折するアクシデントに見舞われます。一時帰国を経て8月に復帰すると、持ち前の打撃力でチームに貢献。54試合で打率.292、9本塁打、30打点を記録し、特に終盤戦での活躍は記憶に新しいところです。8月26日の西武戦では増田達至投手からサヨナラ満塁本塁打を放ち、チームの勢いを決定的にしました。そしてポストシーズンでは打率.455と大活躍。チームの日本シリーズ制覇に大きく貢献し、その名を一躍全国に知らしめました。

2019年も開幕スタメンに名を連ねましたが、今度は左脇腹を負傷。前半戦は中軸として活躍し、オールスターゲームにも出場するなど、順風満帆に見えたものの、7月にはキューバ代表に合流するため一時帰国。それでもシーズン後半戦は再び中軸を担い、規定打席には届きませんでしたが、打率.319、28本塁打、68打点を記録。リーグ最高長打率打者にも認定される活躍を見せました。クライマックスシリーズでは3本塁打を放ち、日本シリーズではMVPを獲得。チームの日本シリーズ3連覇に貢献しました。ポストシーズンでの6本塁打は、2004年の和田一浩選手以来の記録です。

2020年は右手小指の骨折と新型コロナウイルスの影響で出遅れましたが、8月に復帰すると10月には10試合連続安打を記録するなど、再びその存在感を示しました。日本シリーズでは2試合連続2安打を記録するなど、チームの4連覇に貢献しました。2021年は怪我の影響でシーズンを棒に振る結果に終わってしまいました。

選手としての特徴と人物像

グラシアルは走攻守3拍子揃った選手として知られています。ミート力、逆方向への打球、勝負強さなど、アベレージヒッターとパワーヒッターの両方の要素を併せ持ち、守備でもユーティリティープレイヤーとして多くのポジションを守れる万能性を持っています。

愛称は「ジュリ」、「ジュリ様」、「グラ様」など、端正な顔立ちで人気を集め、憧れの選手としてアントニオ・パチェコを挙げています。元チームメイトの髙谷裕亮選手とは仲が良く、本塁打を打つとユニークなボクシングパフォーマンスを披露するなど、明るく親しみやすい人柄も魅力です。

まとめ

ジュリスベル・グラシアル・ガルシアは、キューバで培った高い野球センスと、ソフトバンクホークスでの活躍を通じて日本球界に大きな足跡を残しました。彼の類まれな才能、そして人柄は、多くのファンに感動と喜びを与え続けました。彼の今後の活躍にも期待したいところです。

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