ジョセフ・チェノットゥ

ジョセフ・チェノット大司教：生涯と日本への貢献

ジョセフ・チェノット大司教（英語: Joseph Chennoth、中国語: 車納徳、1943年10月13日 - 2020年9月8日）は、シリア・マラバル典礼カトリック教会の高位聖職者であり、ヴァチカン市国の外交官として重要な役割を果たしました。2011年から駐日教皇大使を務め、在任中の2020年に76歳で逝去されました。

生い立ちと教育

1943年、インド・ケララ州コカマンガラムで、父ジョセフと母マリアクッティの間に6人の息子と2人の娘の一人として生まれました。1960年に神学校に入学し、哲学を学んだ後、エルナクラム・アンガマリー大司教区の大司教の推薦により、ローマの教皇庁立ウルバノ大学で教育を受けました。

司祭叙階と外交官への道

1969年5月4日、台湾カトリック台南教区の司教により司祭に叙階されました。1973年には教皇庁聖職者アカデミーでの学習を終え、外交官としての道を歩み始めます。国際法の学位と教会法の博士号を取得し、ラテン語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、中国語にも堪能でした。

ヨハネ・パウロ2世との交流

1999年2月のヨハネ・パウロ2世のインド訪問時には、教皇にマラヤーラム語を教え、その功績が高く評価されました。

教皇大使としての任命

1999年8月24日、ヨハネ・パウロ2世によりミレヴィ名義大司教および中央アフリカとチャドの教皇大使に任命され、同年10月30日に司教叙階を受けました。2005年6月15日には、ベネディクト16世によりタンザニア教皇大使に任命され、その後、2011年8月15日に日本教皇大使に任命されました。

駐日教皇大使としての活動

2011年に駐日教皇大使に就任して以来、日本のカトリック教会と社会に大きく貢献しました。2012年2月15日には、東日本大震災1周年ミサに司教団の一員として参加し、被災者の方々を慰めました。2016年5月には特使として台湾を訪問し、蔡英文総統の就任式に参列しています。

2017年5月26日には、熊本地震の被災地を視察し、熊本市慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」を訪問。命の尊さについて語り、教皇フランシスコからの十字架を贈りました。

2018年には、東京のいのちの行進にメッセージを寄せ、すべての人の命は神からの贈り物であり、尊重され保護されなければならないと訴えました。

2019年には、教皇フランシスコの訪日準備のために定年後も職務を延長し、同年10月22日には、今上天皇の即位礼正殿の儀に参列しました。

晩年と死

2020年の休暇にはインド訪問を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で取りやめとなり、大使館で自粛生活を送っていました。同年5月8日に急病のため入院し、9月8日に小脳梗塞による大孔ヘルニアのため、東京都新宿区の聖母病院で逝去されました。76歳でした。死没日をもって日本国政府より旭日大綬章が追贈されました。同年9月17日にはカトリック関口教会で追悼ミサが、22日には故郷のケララ州で葬儀ミサが執り行われました。

臨時代理大使としてヴェチェスラヴ・トゥミル参事官が就任しました。

ジョセフ・チェノット大司教は、その生涯を通じて、カトリック教会の発展と国際交流に尽力しました。彼の功績は、今後も長く記憶されることでしょう。

もう一度検索