ジョゼフ・フランソワ・デュプレクス

ジョゼフ・フランソワ・デュプレクスの生涯

ジョゼフ・フランソワ・デュプレクスは、1697年1月1日にフランスのノール県ランドルシーに生まれました。彼は徴税請負人フランソワ・デュプレクスの息子であり、幼少期から商人としての道を歩むことを期待されていました。しかし、彼の科学への関心が高まったため、父親は彼をフランス東インド会社に派遣し、商業の世界からその興味をそらそうとしました。

デュプレクスは1715年にインドに足を踏み入れ、その後、北米やインドを旅する中で多様な経験を積みます。1720年にはポンディシェリーの高等評議会に参加し、商人としての手腕を発揮しながら成功を収めました。1730年にはシャンデルナゴルのフランス事務長官に就任し、この地域におけるフランスの影響力を強化しました。彼の活躍により、デュプレクスは1742年にフランス領インド総督に任命されることとなります。また、1741年にはジャンヌ・アルベールと結婚し、彼女はインドの諸侯との交渉において重要な役割を果たしました。

第一次カーナティック戦争

フランス領インド総督として、デュプレクスはフランスの領土を拡大するために様々な対策を講じました。彼はインドの諸侯との同盟を結び、インド風の衣装を身にまとい、地域の文化に溶け込む努力をしました。しかし、これらの行動はイギリス側の警戒心を招くことになります。また、ブルボン島総督との不和もあり、領土拡大は期待したほど進みませんでした。

第一次カーナティック戦争では、デュプレクスは1746年にイギリス軍を相手にマドラスの戦いを制し、同年中にマドラスを占領することに成功します。ただし、町の降伏に対する寛大な条件提案が裏目に出てしまい、町はイギリスに返還されることとなりました。デュプレクスはこの結果に失望し、1747年にセント・デイヴィッド砦への遠征を行うも失敗に終わります。その後、デュプレクスは再度の遠征を計画しましたが、思うような成績は残せず、1748年にはポンディシェリーが包囲される事態に陥ります。最終的に、アーヘンの和約が結ばれ、戦争は一旦終息します。

第二次カーナティック戦争と失脚

次にデュプレクスは、カルナータカ太守やニザーム王国の継承争いに介入し、大軍を送り込むことを決定します。しかし、イギリスは異なる継承者を支持する動きを見せ、彼の計画は再び頓挫します。1754年まで続いたフランスとイギリスの対立の中で、本国政府はデュプレクスの更迭を決定し、そのことを告知するために与えられた権限で彼を逮捕することになりました。

デュプレクスは1754年10月12日にインドを去ることを余儀なくされ、その後のフランスは1757年のプラッシーの戦いでの敗北を受け、インドでの植民地事業が苦境に立たされます。デュプレクスは自身の財産を政策に投じていたものの、本国政府からは正当な評価を受けることはありませんでした。1756年に妻が亡くなると、デュプレクスは第二の結婚を果たし、1763年11月10日に名も知られず貧窮のうちにこの世を去ります。

評価

デュプレクスは、歴史的には「フランスの偉大な植民地総督」として認識されており、『ブリタニカ百科事典第11版』では彼の軍事的才能がロバート・クライヴには及ばないとの評価があります。彼の生涯は、成功と悲劇の象徴として、フランスによる植民地拡大の歴史に記され続けています。

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