ジョホール海峡

ジョホール海峡：マレーシアとシンガポールを結ぶ水路

ジョホール海峡は、マレーシア半島の南端に位置するジョホール州ジョホールバルと、シンガポール島との間を隔てる海峡です。この海峡は、マレーシアとシンガポールの国境線としての役割も担っており、ジョホール水道とも呼ばれています。

海峡の概要

ジョホール海峡の中央部には、ジョホール・シンガポール・コーズウェイと呼ばれる長堤が建設されており、道路、歩道、そして鉄道（単線）が通っています。このコーズウェイは、両国間の重要な交通路として機能しており、シンガポール側にはウッドランズ・チェックポイントが設置され、多くの人々が行き来しています。しかし、このコーズウェイの存在により、船舶での海峡横断は不可能となっています。

シンガポールは、国土が狭く、山地が少ないため、降雨による貯水や海水の淡水化、水の再利用だけでは十分な給水量を確保することができません。そのため、マレーシアから原水を購入し、そのための水道管がジョホール海峡を横断しています。この事実は、両国間の協力関係を示す一方で、シンガポールの水資源における依存度を示しています。

1998年には、海峡の西部を横断する橋、マレーシア・シンガポール・セカンドリンクが完成しました。これにより、コーズウェイに加えて、新たな交通ルートが確保されました。

現在もコーズウェイ周辺では、鉄道駅（JBセントラル駅）、道路、インターチェンジなどの整備が進められています。また、マレーシア側の新しいCIQ施設は、2008年12月より使用が開始され、それに伴いコーズウェイの徒歩による横断は禁止されました。2010年10月には、ジョホール・バル駅東側に建設されたJBセントラル駅が開業し、交通の利便性がさらに向上しました。

将来的な展望

さらに、ジョホール・シンガポール・コーズウェイの脇には、新しい鉄道橋と道路橋の建設が計画されています。この計画が実現すると、コーズウェイのマレーシア側の一部が撤去され、幅75m、喫水10m、海面上25mまでの船舶が航行できるようになるとされています。これにより、ジョホール海峡の航行能力が向上し、物流の効率化が期待されます。

フォレストシティーの建設と現状

2010年代には、ジョホール海峡のマレーシア側で、約30万平方キロメートルにも及ぶ人工島「フォレストシティー」が建設されました。この大規模なプロジェクトは、中国の大手不動産デベロッパーである碧桂園によって手掛けられ、最終的には約70万人が居住することを想定していました。

しかし、2020年に新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大すると、外国人労働者や居住者がフォレストシティーを離れ、一時的にゴーストタウンのような状態になりました。感染症の影響が薄れた2022年には、碧桂園の経営不振が明らかになり、フォレストシティーの開発スケジュールは不透明な状況となっています。この問題は、大規模な都市開発プロジェクトにおけるリスクと、国際的な経済状況が地域に与える影響を浮き彫りにしています。

ジョホール海峡は、単なる地理的な境界線としてだけでなく、両国の経済、文化、そして人々の生活に深く関わる重要な水路であり、その変化は常に注目されています。

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