ジョン・シン (第4代バース侯爵)

第4代バース侯爵ジョン・アレクサンダー・シン

第4代バース侯爵ジョン・アレクサンダー・シン（John Alexander Thynne, 4th Marquess of Bath、1831年3月1日 – 1896年4月20日）は、19世紀のイギリスにおいて、貴族、外交官として活躍した人物です。特に、1876年にブルガリアで発生した4月蜂起に対するオスマン帝国の残虐な鎮圧に強い関心を寄せ、当時の首相ベンジャミン・ディズレーリの外交政策に公然と反対したことで、歴史にその名を刻んでいます。

生涯

1831年、ジョン・アレクサンダー・シンは、第3代バース侯爵ヘンリー・フレデリック・シンとその妻ハリエットの息子として誕生しました。幼少期はイートン・カレッジで教育を受け、その後オックスフォード大学クライスト・チャーチに進学。1837年に父が亡くなると、わずか6歳でバース侯爵位を継承することとなりました。

1853年にはサマセットの副統監に、1860年にはウィルトシャーの副統監に任命され、地方行政においても重要な役割を果たしました。また、サマセット、ウィルトシャー、モナハン県の治安判事も務めています。1866年にはウィルトシャー志願兵第1大隊の隊長に就任し、その後ウィルトシャー・ヨーマンリー連隊の副隊長、そして隊長へと昇進するなど、軍事面でも貢献しました。

外交官としては、1858年にポルトガル王ペドロ5世へのガーター勲章授与のイギリス代表としてリスボンに派遣され、ペドロ5世から塔と剣勲章大十字を授与されました。1867年にも、オーストリア＝ハンガリー帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世へのガーター勲章授与のためウィーンに派遣され、レオポルト勲章大十字を授与されています。

文化面では、1874年から1893年までナショナル・ポートレート・ギャラリーの理事を、1883年には大英博物館の理事を務めるなど、文化財の保護・発展にも尽力しました。1889年からはウィルトシャー統監を務め、その地域社会への貢献は多岐にわたりました。

政治においては保守党に所属していましたが、カトリック教徒であったことから、1874年の教会礼拝式規制法には反対しました。また、ブルガリアにおけるオスマン帝国の残虐行為に対しては、反オスマン運動を支援し、時の首相ディズレーリの政策に異を唱えました。この件では、野党自由党のウィリアム・グラッドストンがバース侯爵の邸宅ロングリートで会合を開いたことからも、彼の政治姿勢が注目を集めていたことがうかがえます。1879年にはブルガリアと東ルメリを旅行し、その見聞をまとめた「Observations on Bulgarian Affairs」を1880年に出版しました。

1883年時点で、彼はモナハン県、ウィルトシャー、サマセットなど、広大な領地を所有しており、その総面積は55,574エーカー、年収は68,015ポンドに相当しました。

1896年4月20日、ヴェネツィアで息を引き取り、ウィルトシャーのロングブリッジ・デヴェリルに埋葬されました。爵位は息子のトマス・ヘンリーが継承しました。

家族

1861年、第3代ド・ヴェシー子爵の娘フランシス・イザベラ・キャサリン・ヴィジーと結婚し、3男3女をもうけました。

トマス・ヘンリー（第5代バース侯爵）
アリス・エマ
キャサリン・ジョージナ・ルイーザ
ジョン・ボトヴィル
ビアトリス
アレクサンダー・ジョージ・ボトヴィル

ジョン・アレクサンダー・シンは、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、イギリス社会に大きな影響を与えた人物として、記憶されるべきでしょう。

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