ジョン・ダルリンプル (第2代ステア伯爵)

第2代ステア伯爵 ジョン・ダルリンプル：軍人、外交官としての生涯

第2代ステア伯爵ジョン・ダルリンプル（1673年7月20日 - 1747年5月9日）は、スコットランド出身の卓越した軍人であり、外交官でした。彼の生涯は、ヨーロッパの主要な戦争への参加と、重要な外交任務の遂行によって彩られています。

生い立ちと軍歴の初期

ジョン・ダルリンプルは、後の初代ステア伯爵ジョン・ダルリンプルを父として生まれました。幼少期には、不慮の事故で兄弟を亡くすという悲劇に見舞われ、その後オランダへ移り、ライデン大学で学びました。大同盟戦争では、アンガス伯爵連隊に志願兵として参加し、1692年のステーンケルケの戦いで勇敢に戦いました。この戦いでの彼の勇猛さは、連隊の陣形が崩れる中でも、それを立て直そうと尽力したことからも明らかです。

1702年、彼は近衛歩兵第3連隊の中佐に任命され、マールバラ公爵と共にスペイン継承戦争に参戦しました。ピールの戦いやフェンローの戦いでの活躍は目覚ましく、特にフェンローではヘッセン＝カッセル方伯子フリードリヒの命を救うという功績を挙げました。1706年にはアンガス伯爵連隊の隊長に任命され、ラミイの戦いにも参加、准将に昇進しました。その後も、スコッツ第4竜騎兵連隊の隊長を務め、1707年に父の死により第2代ステア伯爵となりました。

外交官としての手腕

ステア伯の才能は軍事面だけでなく、外交の舞台でも発揮されました。1714年にジョージ1世が即位すると、彼はイギリス大使としてフランスのヴェルサイユ宮廷に派遣されました。サン＝シモン公の記録によると、ステア伯はルイ15世の摂政であるオルレアン公フィリップ2世と親密な関係を築き、1717年の三国同盟の成立に大きく貢献しました。パリ滞在中には、ジャコバイトの陰謀を阻止するためにスパイを放ち、その情報収集能力と戦略的思考は高く評価されました。1720年に大使を辞任したものの、彼の外交手腕はイギリス政府にとって貴重なものでした。

オーストリア継承戦争と晩年

1742年、ステア伯は陸軍元帥に昇進し、オーストリア継承戦争に参加しました。デッティンゲンの戦いでは同盟軍を勝利に導き、その軍事的な才能を再び証明しました。しかし、高齢のためフランドル軍の指揮を退き、その後は軍最高司令官の地位をジョージ・ウェイドに譲りました。晩年は、ニューリストンにフランス風の庭園を築き、静かな生活を送りました。1747年5月9日、エディンバラで亡くなり、カークリストンの家族納骨所に埋葬されました。

家族とエピソード

1708年に第2代ラウドン伯爵の娘エレノア・プリムローズ・キャンベルと結婚しましたが、子供はいませんでした。ステア伯は爵位を甥に継承させたかったものの、貴族院の決定により、最終的には法律上の推定相続人であるジェームズ・ダルリンプルが爵位を継承しました。サー・ウォルター・スコットの短編小説《マーガレット伯母さんの鏡》は、ステア伯がエレノア・プリムローズ・キャンベルに求婚しようとした際のエピソードに基づいているとされています。

ジョン・ダルリンプル、第2代ステア伯爵は、軍人、外交官として激動の時代を生き抜き、その才能と手腕でイギリスの歴史に名を刻んだ人物です。

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