ジョン・ド・ワーレン (第6代サリー伯爵)

ジョン・ド・ワーレン：サリー伯爵、激動の時代を生きた貴族

ジョン・ド・ワーレン（1231年頃 - 1304年）は、第6代サリー伯爵として、13世紀のイングランドで重要な役割を果たした貴族です。彼は、ヘンリー3世とエドワード1世の2代にわたり王室に仕え、軍事、政治の両面でその存在感を示しました。

生涯

1231年頃、第5代サリー伯爵ウィリアム・ド・ワーレンの息子として生まれたジョンは、1240年に父の死に伴い、サリー伯爵位を継承しました。1247年には、ヘンリー3世の異父妹であるアリス・ド・リュジニャンと結婚し、王室との結びつきを強めます。

バロン戦争と王室への忠誠

1258年に貴族たちがヘンリー3世に対して反乱を起こすと、ジョンは義兄である王を支持しました。一時的にシモン・ド・モンフォールを支持した時期もありましたが、1264年の第二次バロン戦争では再び王室側につき、1265年のイーヴシャムの戦いでは皇太子エドワード（後のエドワード1世）の指揮下で戦いました。

スコットランド総督として

エドワード1世の治世になると、ジョンは再び重用されます。1296年に娘婿にあたるスコットランド王ジョン・ベイリャルがエドワード1世に反旗を翻すと、ジョンはウェールズで兵を徴集し、スコットランド侵攻軍を組織・指揮しました。ダンバーの戦いでは、ベイリャル率いるスコットランド軍を破り、その功績によりスコットランド総督に任命されました。

スコットランドでの強圧支配と抵抗

しかし、ジョンのスコットランド統治は、民衆に対する徹底的な弾圧を伴いました。この強圧的な支配は、スコットランド民衆の抵抗運動を激化させることになります。1297年7月までに南西部の抵抗運動を鎮圧したものの、ウィリアム・ウォレスとアンドルー・マリー率いるスコットランド軍は中部から北東部にかけて勢力を拡大しました。事態を重く見たジョンは討伐軍を組織し、1297年9月11日のスターリング・ブリッジの戦いでスコットランド軍と衝突しますが、大敗を喫してしまいます。翌1298年のフォルカークの戦いでは、エドワード1世の指揮下で参加し勝利、雪辱を果たしました。

イングランド貴族としての側面

対外的にはエドワード1世に忠実だったジョンですが、イングランド国内においては、イングランド貴族の代表として行動することが多く、王権による貴族権力抑制に抵抗しました。1278年から1279年にかけては、王権拡大を狙った権限開示令状に反対しています。

1304年9月29日、ジョン・ド・ワーレンはサリー・ケニントンで亡くなりました。

家族

1247年にユーグ10世・ド・リュジニャンの娘アリスと結婚。アリスは、ジョン王の王妃イザベラの娘であり、ヘンリー3世の異父妹にあたります。彼女との間に、息子ウィリアム・ド・ワーレンと娘エレノア、イザベラをもうけました。長男ウィリアムに先立たれたため、爵位はウィリアムの長男ジョンが継承しました。次女イザベラはスコットランド王ジョン・ベイリャルと結婚しています。

参考文献

松村赳、富田虎男『英米史辞典』研究社、2000年。ISBN 978-4767430478。
森護『スコットランド王国史話』大修館書店、1988年。ISBN 978-4469242560。

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