ジョン・ハリソン (時計職人)

ジョン・ハリソンの業績と影響

ジョン・ハリソン（1693年3月24日 - 1776年3月24日）は、イギリスの時計製作者であり、渡洋航海に必須とされる経度の測定を可能にする高精度の機械式時計、つまりクロノメーターを初めて製造したことで知られています。

彼はヨークシャー州ウェイクフィールド近郊のフォールビーで木工職人の息子として生まれました。幼少期に天然痘にかかり静養中、父親から贈られた時計に魅了され、成長するにつれて自身も時計づくりを始めました。1713年には、独自に製作した時計が周囲で評判となり、時計職人としての道を選びました。

クロノメーターの開発

1714年、ハリソンはイギリス海軍とロンドンの貿易商人による経度に関する請願に関与。1730年には資金援助を求めてロンドンへ向かい、王立天文台の長、エドモンド・ハレーに出会い、その後人気の時計師、ジョージ・グラハムを紹介されます。この出会いを通じて、経度時計の開発に必要な資金を得ることができました。

H1の誕生

1736年、7年にわたる技術開発を経て作られたH1は、実際にセンチュリオン号に搭載され、リスボンへの航海にてその高精度を立証しました。国家ウェストインディーズ航海の基準である平均日差2秒以内には達しなかったものの、その成果は高く評価され、経度委員会から500ポンドの資金援助を得ました。

H2の挑戦

1739年、H2が完成しますが、オーストリア継承戦争の影響により航海実験は延期されました。しかし、ハリソンは開発を続け、最後にはバイメタルを発明するに至ります。

H3とH4

1757年にはH3が完成。その後1760年、小型化されたH4が完成しました。1761年の航海実験では41秒の遅れを記録し、イギリス政府から20000ポンドの懸賞金が提案されますが、ハリソンは評価されず、さらなる試験を求められました。

1762年、往復実験で優れた成績を収めるも、全額は支払われず、議会内の反発に直面します。1764年にはH5が完成し、バルバドスへの航海で15秒という優秀な成績を残しますが、依然として全額支払われることはありませんでした。国王ジョージ3世が介入し、遂には1763年の実験によりその正確性が証明され、ハリソンに残りの懸賞金が授与されることとなります。

計測技術の革新

ハリソンのクロノメーターは、単なる時計に留まらず、精密さを追求する過程で、転がり軸受など数多くの機械要素の発明を促しました。彼の業績は、時計製作だけでなく、航海術においても歴史的な転機をもたらしたのです。

影響と評価

後の時代、彼の功績は様々な形で評価され、デーヴァ・ソベルの著書『経度への挑戦』に描かれ、ベストセラーにもなりました。また、彼の設計に基づく時計が作られ、現在もグリニッジ天文台に展示されています。さらに、時計メーカーのロイヤル・アルマニーは、「J.HARRISON」というブランド名を用いています。ジョン・ハリソンの業績は、現在も時計製作や航海技術に多大な影響を与え続けています。

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