ジョン・ランチベリー

ジョン・ランチベリー

ジョン・アーサー・ランチベリー（John Arthur Lanchbery, 1923年5月15日 - 2003年2月27日）は、イギリス・ロンドン出身の作曲家、そして指揮者です。特にバレエ音楽の分野で顕著な功績を残し、舞台での指揮や既存のバレエ音楽の編曲者として広く知られています。

生涯

1923年、ロンドンに生まれたランチベリーは、8歳からヴァイオリンを学び始め、やがて作曲にも親しむようになりました。奨学金を得て王立音楽アカデミーに進みますが、第二次世界大戦の勃発により学業を一時中断せざるを得ませんでした。戦後アカデミーに戻り、卒業後はアングロ・ソビエト音楽新聞という音楽出版社で経験を積みました。

25歳でメトロポリタン・バレエ団の音楽監督に就任し、2年間にわたりその任を務めました。1951年には、その年に急逝したコンスタント・ランバートの後を継ぎ、サドラーズ・ウェルズ・バレエ団の指揮者となります。そして、1960年から1970年までの10年間は、世界的に名高いロイヤル・バレエ団の首席指揮者として活躍しました。その後も国際的なキャリアは続き、1972年から1978年までオーストラリア・バレエ団の音楽監督、1978年から1980年まではアメリカン・バレエ・シアターの音楽監督を務めました。これらの主要なバレエ団での要職を歴任した後、ランチベリーは特定の団体に属さず、フリーランスとして世界各地でバレエ音楽の編曲や舞台指揮の活動を展開しました。

業績

指揮者としては特にバレエの分野で高く評価され、また編曲家としてもその才能を遺憾なく発揮しました。彼はまた、オペラ作品をバレエとして上演するために編曲した初期の人物の一人であり、ジャック・オッフェンバックの『ホフマン物語』、フランツ・レハールの『メリー・ウィドウ』、ヨハン・シュトラウス2世の『こうもり』といった作品をバレエ版に仕立て、成功に導きました。

1960年代からは映画音楽にも関与し、1977年にはハーバート・ロス監督によるバレエを題材にした映画『愛と喝采の日々』の音楽を手掛けました。さらに、過去の無声映画のために伴奏音楽を新たに作曲・編曲しており、D・W・グリフィス監督の『国民の創生』（1915年）やジョン・フォード監督の『アイアン・ホース』（1924年）といった歴史的な作品に音楽を提供しています。

彼は積極的にバレエ音楽の録音も行い、数々の名盤を世に送り出しました。ルドルフ・ヌレエフ演出の同名映画サウンドトラック盤であるウィーン交響楽団とのチャイコフスキー『白鳥の湖』、フィルハーモニア管弦楽団との同じく『白鳥の湖』のほか、『眠れる森の美女』、『くるみ割り人形』といったチャイコフスキー三大バレエの全曲盤、さらにアダン『ジゼル』、プティパ編のミンクス『ラ・バヤデール』、ヘロルド＝ランケリー編『リーズの結婚』など、指揮者・編曲者としての力量を示す多くの録音を残しています。

私生活と晩年

私生活では、サドラーズ・ウェルズ・バレエ団のプリンシパルだったオーストラリア出身のバレエダンサー、エレイン・ファイフィールドと結婚し、一女をもうけましたが、1960年に離婚しています。1991年には長年の功績が認められ、大英帝国勲章（CBE）を授与されました。晩年はオーストラリアに移り住み、2002年にはオーストラリアの市民権を取得しました。その後、メルボルンに定住し、2003年2月27日に同地で生涯を閉じました。

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