ジョン・W・キャンベル記念賞

ジョン・W・キャンベル記念賞とは

ジョン・W・キャンベル記念賞（John W. Campbell Memorial Award for Best Science Fiction Novel）は、毎年サイエンスフィクション（SF）の分野で英文で出版された長篇小説を対象とした権威ある文学賞です。この賞は、1973年に著名なSF編集者ジョン・W・キャンベルにちなんで創設されました。目的は、彼のように将来のSF作家たちを応援することです。

この賞は1994年を除き、毎年授与されています。選考される作品は、前年に英語で発表されたSF長篇小説に限定されています。この賞は、SF作品の質を高めるための重要な役割を果たしており、受賞作はしばしば文学界で注目を浴びます。

授賞式と選考プロセス

ジョン・W・キャンベル記念賞の選考委員は、受賞作候補を決めた後、議論を重ねて最終的な受賞作を選びます。2009年の委員は8名、2010年と2011年は9名が選考に関与しました。委員は順位を付けて最大3作品を選び、その結果を発表します。

授賞式は、1979年からカンザス大学にあるセンター・フォー・ザ・スタディ・オブ・サイエンス・フィクション（CSSF）が主催する「キャンベル・カンファレンス」で毎年行われています。このカンファレンスでは、SFの創作やイラスト、出版、教育、批評に関するさまざまなセッションが開催されます。授賞式はカンファレンスのクライマックスとして位置づけられており、受賞作家は開催前に行われるSF作家ワークショップにも参加することがあるため、参加者にとって特別な意味を持ちます。

選考委員の顔ぶれ

たとえば、2010年と2011年の選考委員には、以下のような著名なSF作家や研究者が名を連ねていました。

• - グレゴリー・ベンフォード：物理学者であり、ネビュラ賞受賞作家（代表作『タイムスケープ』）。
• - ポール・ディ・フィリポ：SF作家および評論家。
• - シーラ・フィンチ：ネビュラ賞を受賞した作家で、SF研究者。
• - ジェイムズ・E・ガン：ヒューゴー賞受賞作家であり、SFの研究者でもあります。
• - エリザベス・アン・ハル：SF研究家で、Science Fiction Research Associationの元会長。
• - クリストファー・マッキティリック：SF作家、研究者で、CSSFの副センター長。
• - ポール・キンケイド：SF評論家で、アーサー・C・クラーク賞の元審査委員長。
• - パメラ・サージェント：ネビュラ賞受賞作家であり、『Women of Wonder』の編集者。
• - トム・シッピー：SF研究者で、The Oxford Book of Science Fiction Storiesの編集者。

受賞歴

この賞の歴史において、1973年と1974年には特別賞も授与されています。1973年にはロバート・シルヴァーバーグの『内死』に対し優れた執筆に対する賞、1974年にはカール・セーガンの『宇宙との連帯』にノンフィクション賞が授与されました。1976年には選考委員が該当作品がないと判断し、1970年に出版された作品に遡って特別賞を与えました。また、1994年には選考が難航したため、賞の授与がありませんでした。このように、受賞作の選定は非常に厳密で、時には意見が割れることもあります。

受賞歴の中では、フレデリック・ポールが1978年と1985年に2度受賞し、ジョーン・スロンチェフスキも1987年と2012年に受賞しています。受賞作やノミネート作品の詳細は、公式ホームページにも記載されています。

関連項目

この賞は、ジョン・W・キャンベルやそれに関連するジョン・W・キャンベル新人賞などとともに、現代のSF文学における重要な賞の一つです。

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