ジョージ・ウィリアム・ノックス

ジョージ・ウィリアム・ノックス：日本に尽くしたアメリカ人宣教師

ジョージ・ウィリアム・ノックス（1853年8月11日 - 1912年4月25日）は、米国長老教会から派遣された宣教師として、明治時代の日本で多岐にわたる活動を展開しました。教育者、神学者、そして日米間の文化交流の担い手として、その足跡は今もなお色褪せることはありません。

生い立ちと初期の活動

1853年、ノックスはニューヨーク州ロームで、牧師であり神学博士の父ウィリアム・イートン・ノックスと、教会活動に熱心な母アリス・ウッドワード・ノックスの長男として誕生しました。父の牧会する教会で育ち、1870年にハミルトン大学に入学。1874年に卒業後、父と同じ道を志し、オーバン神学校で神学を学びました。1877年に神学校を卒業すると、アン・キャロライン・ホームズと結婚。ニューヨーク州エルミラの教会から日本派遣宣教師として任命を受け、夫婦で日本へと旅立ちました。

日本での宣教活動

1877年11月、ノックス夫妻は横浜に到着し、長老教会宣教師館に滞在。そこで、バラ学校という男子学校で英語を教えながら日本語を学びました。また、住吉町教会の牧師も務めました。当時、オランダ改革派教会、スコットランド一致長老教会、そして日本の教会が合同し、日本基督一致教会が成立。その教職者養成のために東京一致神学校が開校され、ノックスは教鞭を執ることになりました。

築地に移り住んだノックスは、築地大学校の教授として2年間勤務。その後、東京一致英和学校と東京一致神学校が合併した際に、神学校の教授として弁証論、教理問答、説教学などを担当しました。ノックスは、政治、社会問題、哲学、倫理学、神学など幅広い分野に関心を持ち、新約聖書の釈義研究や日本の古典研究にも取り組みました。アジア協会の理事長、副理事長も務めるなど、その活動は多岐に渡りました。

1883年には、韓国のプロテスタント信徒である李樹廷との関係から、朝鮮の現地視察旅行を行い、朝鮮伝道も試みました。アメリカ聖書協会の宣教師と協力し、アメリカ本国に朝鮮伝道のための宣教師派遣を要請。その結果、1885年にはメソジスト教会の宣教師と長老派の宣教師が来日し、李樹廷から朝鮮語を学んだ後、韓国での伝道を開始しました。

1886年からは、東京大学で哲学と審美学の講義を担当。また、在日宣教師と日本人教職者が協力してクリスチャン・カレッジの創設を企画し、ノックスもその実行委員として活躍。1887年、明治学院が開校しました。

一時帰国と高知伝道

1887年に一時帰国したノックスは、1888年に再び日本へ。その年、日本での宣教事業の功績が認められ、プリンストン大学から名誉博士号を授与されました。日本基督一致協会の伝道局創設にも尽力し、自由党との関係から高知伝道も積極的に展開。ノックス自身も高知に赴き、演説会を行うなど精力的に活動しました。

慶應義塾大学での講義と帰国

1891年から1年間、慶應義塾大学で心理学の講義を担当。その後、旧約聖書釈義も担当するなど、学問への探求心は衰えませんでした。しかし、1893年にアメリカへの帰国を決意し、同年6月に帰国しました。

本国での活動と晩年

帰国後、ノックスは長老教会での奉仕を経て、ユニオン神学校の教授として哲学、宗教史、海外伝道などを教えました。その間、数々の論文を発表し、高い評価を得て、複数の大学から名誉博士号を授与されました。1908年には、日本政府から勲四等旭日小綬章を贈られています。

1911年、ユニオン神学校はノックスをアジア各地に派遣。インド、中国、朝鮮、日本を巡る中で、1912年4月、京城（現在のソウル）で肺炎のため客死しました。その功績を称えられ、日本政府から勲三等瑞宝章が贈られました。

ジョージ・ウィリアム・ノックスは、日本におけるキリスト教の普及、教育の発展、そして日米間の友好関係の構築に大きく貢献した人物として、その名が刻まれています。

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