ジョージ・モリソン

ジョージ・モリソン（George Staunton Morrison、1830年または1831年 - 1893年8月20日）は、19世紀のイギリスの外交官であり、初代長崎領事を務めた人物です。日英修好通商条約締結後の開港期における重要な役割を担いました。

初代長崎領事としての着任

1858年に締結された日英修好通商条約に基づき、長崎が開港されることになり、モリソンは初代長崎領事に任命されました。当時の長崎は、外国との貿易拠点として重要な位置づけであり、領事の役割は非常に大きかったと言えます。モリソンは、ラザフォード・オールコック総領事（後に公使に昇進）に次ぐ地位でしたが、健康上の理由からスエズ運河を経由せずに喜望峰回りで上海に向かったため、他の外交官よりも遅れて長崎に到着しました。そのため、1859年7月1日の長崎開港に際して、オールコックは事務取扱としてクリストファー・ホジソンを初代領事に指名しました。モリソンは、その約1ヶ月後の8月6日に長崎に到着し、正式に領事としての職務を開始しました。モリソンは1863年12月まで長崎領事を務めました。

長崎での活動

モリソンは領事として着任後、最初の2年間で長崎在住の英国人のための規則制定や、幕府側との貿易交渉、居留地整備の交渉に尽力しました。これらの活動は、長崎における英国の影響力を確立し、貿易を円滑に進める上で重要な役割を果たしました。また、モリソンは日本の情勢にも関心を持ち、オールコックと共に長崎から江戸までの陸路の旅を計画しました。

江戸への旅と東禅寺事件

モリソンは、オールコックと共に長崎から江戸への陸路の旅に参加しました。一行には、オランダ総領事のデ・ウィット、公使館員のエイベル・ガウワー、画家のチャールズ・ワーグマンが同行しました。1861年6月1日に長崎を出発し、34日間かけて7月4日に江戸に到着しました。しかし、その翌日の7月5日午後10時頃、水戸藩脱藩の攘夷派浪士14名が東禅寺のイギリス公使館に侵入し、オールコック公使らを襲撃する事件が発生しました（第一次東禅寺事件）。この襲撃事件で、モリソンは負傷し、同じく数日前に江戸に到着したばかりの一等書記官ローレンス・オリファントも負傷しました。この事件により、モリソンとオリファントは共に秋に英国に帰国しました。

再び長崎へ、そして帰国

モリソンは1863年4月に長崎に戻りましたが、前年の生麦事件の影響もあり、攘夷運動が長崎にまで波及しており、日英間で戦闘が起こる可能性がありました。モリソンは英国軍艦に居留地の保護を依頼するなど、緊張した状況に対応しました。しかし、健康上の理由を抱えていたモリソンは、結局英国に帰国し、再び長崎に戻ることはありませんでした。東禅寺事件での負傷が、辞職を決断する一因となったと考えられています。

その後

1893年8月20日、モリソンは62歳で亡くなりました。彼の長崎領事としての活動は、開港期の日本とイギリスの関係を築く上で重要な役割を果たし、その後の両国の交流に大きな影響を与えました。モリソンの生涯は、激動の時代における外交官の責任と苦悩を示すものとして、歴史に刻まれています。

参考資料

Nagasaki Foreign Settlement Research Group; The People of the Nagasaki Foreign Settlement; British Consulate.
佐野真由子　『オールコックの江戸』　中公新書、2004年。

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