ジョー・マネリ

ジョー・マネリ（本名：ジョセフ・ガブリエル・エスター・マネリ、1927年2月9日 - 2009年8月24日）は、アメリカの著名なジャズ作曲家、サクソフォーン奏者、そしてクラリネット奏者でした。彼は長年にわたりニューイングランド音楽院で教員を務め、特に微分音を用いた音楽作品の作曲に情熱を注ぎました。

生い立ちと音楽への目覚め

ニューヨークのブルックリン区で生まれたマネリは、若い頃からニューヨークのジャズシーンでサックス奏者、クラリネット奏者として活動を始めました。ジャズに加え、トルコ、アルバニア、ギリシャ、中東など、多様な民族音楽にも深い関心を寄せました。作曲においては、アルバン・ベルクの弟子であるヨーゼフ・シュミットに師事し、十二音技法を深く探求しました。

教育者としての貢献

1970年、マネリはガンサー・シュラーが院長を務めていたボストンのニューイングランド音楽院で教鞭を執るようになり、作曲と教育を中心とした活動を長く続けました。1972年以降は、エズラ・シムズが開発した記譜法を用いて、微分音を用いた作品を数多く作曲しました。また、微分音音楽に関する独自の理論を構築し、オクターブを72分割した72平均律に基づく5オクターブの音域を持つ鍵盤楽器を開発するなど、その探求心は留まることを知りませんでした。

再評価と晩年の活動

1990年代に入ると、ヴァイオリン奏者である息子のマット・マネリの勧めもあり、再び演奏活動にも積極的に取り組むようになりました。小編成のアンサンブルを率いて、微分音を取り入れた即興的なジャズ公演を各地で開催し、ヨーロッパツアーも行いました。また、アルバムの録音にも意欲的に取り組み、数多くの作品を世に送り出しました。

ボストン微分音協会の設立

マネリは1988年にボストン微分音協会 (Boston Microtonal Society、BMS) を設立しました。この団体は、微分音を用いた音楽や調律の研究、演奏を推進することを目的としており、マネリの音楽思想を具現化する重要な活動拠点となりました。

主なディスコグラフィー

マネリは数多くのアルバムをリリースしており、代表作としては以下のようなものがあります。

Kalavinka (1989年)
Get Ready to Receive Yourself (1995年)
Three Men Walking (1996年) ※マット・マネリ、ジョー・モリスとの共演
Dahabenzapple (1996年)
Let the Horse Go (1996年)
In Full Cry (1997年)
Coming Down the Mountain (1997年)
Paniots Nine (1998年)
Blessed (1998年) ※マット・マネリとの共演
Tales of Rohnlief (1999年) ※マット・マネリ、バール・フィリップスとの共演
Tenderly (1999年)
Out Right Now (2001年) ※マット・マネリ、ジョー・モリスとの共演
Voices Lowered (2001年)
The Trio Concerts (2001年)
Going to Church (2002年)
Angles of Repose (2004年)
Peace Concert (1964) ※ピーター・ドルガーとの共演
Pinerskol (2009年) ※原田雅嗣との共演

これらのアルバムは、マネリの革新的な音楽性を深く理解するための貴重な資料となっています。

息子マット・マネリとの共演

マネリは、ヴァイオリン奏者である息子のマット・マネリとも数多くの作品で共演しています。マットのアルバムへの参加としては、Acceptance (1996年)、Pentagon (2005年)などがあります。親子ならではの親密な音楽的対話は、聴く人の心を捉えます。

ジョー・マネリは、微分音音楽の探求と教育への貢献を通じて、現代音楽に大きな足跡を残しました。彼の革新的な音楽は、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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