スカイラブ2号

スカイラブ2号：アメリカ初の宇宙ステーションへの挑戦

スカイラブ2号（SL-2、またはSLM-1とも呼ばれる）は、アメリカ初の宇宙ステーションであるスカイラブへの最初の有人ミッションです。サターンIBロケットに搭載されたアポロ宇宙船によって、3名の宇宙飛行士が軌道上の実験室へと向かいました。このミッションは、宇宙での長期滞在の可能性を切り開く重要な一歩となりました。

ミッションの概要

スカイラブ2号は、単に宇宙飛行士を宇宙に送るだけでなく、宇宙ステーションの修理、医療実験、太陽や地球の観測など、多岐にわたる目的を持っていました。特に、スカイラブ本体が打ち上げ時に深刻な損傷を負ったため、最初のミッションでは修理作業が大きな焦点となりました。

飛行士

船長: ピート・コンラッド
パイロット: ポール・ウェイツ
科学パイロット: ジョセフ・カーウィン

予備搭乗員:

ロバート・クリッペン
ヘンリー・ハーツフィールド
ウィリアム・ソーントン

支援飛行士:

リチャード・トゥルーリー

諸元

質量: 19,979キログラム
最大高度: 440キロメートル
飛行距離: 18,536,730.9キロメートル
発射機: サターンIB型ロケット
近地点: 428キロメートル
遠地点: 438キロメートル
軌道傾斜角: 50°
軌道周回時間: 93.2分

ドッキング

暫定的ドッキング: 1973年5月26日 09:56 UTC
切り離し: 1973年5月26日 10:45 UTC
ドッキング時間: 49分
確定的ドッキング: 1973年5月26日 15:50 UTC
切り離し: 1973年6月22日 08:58 UTC
ドッキング時間: 26日11時間2分

船外活動 (EVA)

EVA1 (ウェイツ): 1973年5月26日 00:40 UTC - 01:20 UTC (40分) - アポロ司令船のハッチから立ち姿勢での船外活動。
EVA2 (コンラッド、カーウィン): 1973年6月7日 15:15 UTC - 18:40 UTC (3時間25分) - 太陽電池パネルの修理。
EVA3 (コンラッド、ウェイツ): 1973年6月19日 10:55 UTC - 12:31 UTC (1時間36分) - さらなる修理作業。

ミッションの詳細

スカイラブ2号のミッションは、打ち上げ前から困難に直面しました。スカイラブ本体は、発射時に微小隕石保護シールドと太陽電池パネルが破損し、深刻なダメージを受けていました。これにより、船内温度が上昇し、有毒ガスが発生する危険性がありました。このため、当初予定されていたミッション開始は延期され、宇宙飛行士たちは修理方法の訓練を受けることになりました。

5月25日、スカイラブ2号はケネディ宇宙センターから打ち上げられました。打ち上げ自体も、点火時に機器が誤って電源を切り替える指示を出すというトラブルがありましたが、幸いにも大きな問題には至りませんでした。軌道に到達後、コンラッドはまずスカイラブの損傷状況を検査し、その後、暫定的なドッキングを行いました。

最初の船外活動では、ウェイツが司令船のハッチから身を乗り出し、太陽電池パネルを展開しようとしましたが、うまくいきませんでした。その後、2回目の船外活動で、コンラッドとカーウィンが協力して、引っかかっていた太陽電池パネルを展開することに成功しました。この修理作業は、マーシャル宇宙飛行センターのプールで訓練を重ねていたことで実現しました。

ミッション期間中、宇宙飛行士たちは、医療実験、太陽観測、地球観測など、多くの実験や観測を実施しました。また、スカイラブの修理にも取り組みました。彼らは、合計で392時間に及ぶ実験を行い、約2万9000枚の太陽写真を撮影しました。28日間の滞在は、当時のアメリカの宇宙滞在記録を大幅に更新しました。

6月22日、スカイラブ2号は無事地球に帰還しました。飛行士たちは、有人宇宙飛行の期間、飛行距離、ドッキングした状態における宇宙での総重量で記録を更新し、またコンラッドは、米ソ双方で最多となる4回目の宇宙飛行を達成しました。

計画の記章

スカイラブ1の記章は、SF界で著名な画家であるケリー・フレアスによってデザインされました。この記章は、太陽を背景にした地球の上を飛行するスカイラブを描いています。フレアスは、このデザインのインスピレーションを、宇宙飛行士たちからの「スカイラブから見た日食」という提案から得たと述べています。

現在の状況

スカイラブ2号で宇宙飛行士が搭乗した司令船は、現在、フロリダ州ペンサコーラの国立海軍航空博物館に展示されています。

参照

Skylab: Command service module systems handbook, CSM 116 – 119 (PDF) April 1972
Skylab Saturn 1B flight manual (PDF) September 1972
NASA Skylab Chronology
Marshall Space Flight Center Skylab Summary
Skylab 2 Characteristics SP-4012 NASA HISTORICAL DATA BOOK
Analog interview with Frank Kelly Freas

マルチメディア

ウィキメディア・コモンズには、スカイラブ2号に関するカテゴリがあります。
Onboard flight film from the Skylab 2 mission

スカイラブ2号のミッションは、宇宙での長期滞在と実験の可能性を示し、その後の宇宙開発に大きな影響を与えました。このミッションでの経験と教訓は、後の宇宙ステーションの建設と運用に活かされることになります。

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