スカイ・アイランド

スカイアイランドとは

スカイアイランド（sky island）とは、周囲の環境と大きく異なる、生態的に孤立した山地のことを指します。この用語は、もともとアメリカ南西部、特にアリゾナ州とニューメキシコ州の国境付近の山々を指して使われていましたが、現在では同様の孤立した高地森林に対しても広く用いられています。

スカイアイランドの形成

スカイアイランドは、約2万年前から1万年前の間に起きた気候変動によって形成されました。この時期、アメリカ南西部では気温が上昇し、広大な砂漠が形成されました。これにより、山岳地帯は周囲の砂漠環境から隔絶され、文字通り「空に浮かぶ島」のような状態になったのです。スカイアイランドは、この孤立した環境がもたらす特有の自然現象、例えば固有種や垂直移住、遺存種などの存在によって特徴づけられます。

スカイアイランドの生物多様性

スカイアイランドの生物多様性は、生物地理学において非常に興味深い研究対象です。その孤立性から、独自の進化を遂げた動植物が生息しており、保全生態学上も重要な意味を持っています。

スカイアイランドの本質的な要素は、他の山地からの物理的な隔絶です。この隔絶は、砂漠に囲まれた森林のような孤立した生息環境を生み出します。孤立は、これらの自然環境において重要な意味を持ち、スカイアイランドは最終氷期以降の気候温暖化によって孤立した北方種のレフュジア（避難地）として機能することがあります。また、エクアドルのガラパゴス諸島のように、局所化した動植物が独自の種分化を遂げる例も見られます。

スカイアイランドという用語の起源

スカイアイランドという概念は、1943年にナット・ドッジが雑誌「アリゾナ・ハイウェイズ」の記事中で、アリゾナ州南東部のチリカワ山脈を「砂漠に浮かぶ山上の島」と表現したことに遡ります。その後、1967年にウェルドン・ヘルドが著書『Sky Island』でこの概念を広めました。ヘルドは、チリカワ山脈の標高差1,700mのドライブを例に、暑い砂漠から草原、樫や松の林、松林、そして最後にトウヒやヤマナラシの森へと変化する様子を描写しました。彼の著書は、バイオームの概念に触れつつも、クリントン・ハート・メリアムのライフゾーンという用語を好んで用いました。また、同書はチリカワ地域の野生生物と生活条件についても詳しく解説しています。

同時期に、山地を生態分布上の島と捉える考え方が科学者の間に定着し、デヴィット・カメンやジョン・マクフィーのような著名な研究者もこの用語を使うようになりました。この概念は、島嶼生物学の研究分野の一部となり、北米南西部の山岳地帯だけでなく、世界中の山地や高地に応用されています。

スカイアイランドの特徴

マドレアン・スカイアイランドは、世界で最も研究が進んだスカイアイランドの一つです。アメリカのニューメキシコ州とアリゾナ州、そしてメキシコのチワワ州とソノラ州にまたがるこれらの山塊は、西シエラマドレ山脈の北縁からコロラド高原南部に続く連鎖の一部を形成しています。アメリカ中北部の山々のスカイアイランドは、平原に囲まれた山地、例えばオクラホマ州南西部のウィチタ山脈のように、列島状山脈とも呼ばれます。

さらに北には、モンタナ州のクレイジー山脈、キャッスル山脈、ベアポー山脈、ハイウッド山脈、リトルロッキー山脈などがあります。これらの山脈はそれぞれ森林に覆われ、森林限界より上にツンドラと雪塊がありますが、他の山脈とは森林で繋がっておらず、半乾燥地帯の低木草原に囲まれています。その他、北米の有名なスカイアイランドとしては、カリフォルニア州のホワイト山脈や、ネバダ州ラスベガス近郊のスプリング山脈などのグレートベイスンの山地林が挙げられます。

アメリカ＝メキシコ国境地帯のスカイアイランドの特徴の一つに、類縁種の混合が見られます。高地の植物は高緯度の特徴を持ち、低地の植物は砂漠地帯や南方とのつながりを示す傾向があります。これらのスカイアイランドには、ユッカ・スコッティー、アメリカアカリスの一種、ミズツボ科の巻貝、アメリカサンショウウオの一種など、特有の動植物種が生息しています。

高山生物の中には、トガリネズミの一種のように、生息する山地内で進化し、局所環境に適応したものがいます。しかし、孤立した小集団は絶滅の危険にさらされやすく、スカイアイランドでは時間とともに種数が減少する傾向があります。また、生息域の孤立は新しい種の侵入を妨げる可能性も指摘されています。

ハイイログマのような、広い生息域を必要とする種は、かつてマドレアン・スカイアイランドの森林や草原、低地に生息していましたが、この地域では20世紀に絶滅しました。高原と低地の生息地間の季節的な移動は、グレートベイスンのツノウズラが行う移住のようなもので、これらの鳥は雪がない時期は高地に、冬には低地に移動します。

スカイアイランドとその間の谷は、生物の拡散に対する障壁であると同時に、移動経路としても機能することがあります。マドレアン・スカイアイランドを利用して生息域を北に拡大した鳥や哺乳類の例として、ウツクシキヌバネドリやハナジロハナグマが挙げられます。

生物地理区ごとのスカイアイランド

（詳細は省略）

脚注

（省略）

外部リンク

* スカイ・アイランド連盟

もう一度検索