スカル・マーフィー

スカル・マーフィー：怪奇派ヒールレスラーの生涯

生い立ちとキャリアの始まり

1930年、カナダ・オンタリオ州ハミルトンで生まれたジョン・ジョセフ・マーフィーは、幼少期の病気により全身の体毛を失うという境遇を経験します。アイルランド生まれとする説もあります。この特異な外見は、後に彼のプロレスラーとしてのアイデンティティを決定付けることになります。全身無毛のスカル・マーフィーというリングネームで知られる彼は、学生時代からボクシングとボディビルディングに励み、プロレスラーのチャック・モルナーにスカウトされ、1952年にプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせます。ハミルトンのYMCAでジミー・シムズに師事し、キャリアを積み重ねて行きました。

アメリカでの活躍と日本プロレスとの出会い

1960年代初頭には、アメリカ南部のNWAジョージア地区で活躍し、南部ヘビー級王座を3度獲得するなど、主要タイトルを獲得し、その名を馳せました。1962年には、日本プロレスに初来日。力道山&豊登組のアジアタッグ王座に挑戦するも、タイトル獲得はなりませんでした。しかし、試合後には仲間と共に力道山を襲撃し、大きな話題を呼びました。同年、力道山とのシングルマッチも実現しています。

タッグチームでの成功とオーストラリアでの活躍

1963年には、カナダ出身のブルート・バーナードと凶悪タッグを結成し、WWWF（後のWWE）に進出、USタッグ王座を獲得しました。さらに、フロリダ地区ではNWA世界タッグ王座を2度獲得。その後、オーストラリアのワールド・チャンピオンシップ・レスリングに遠征し、IWA世界ヘビー級王座を3度、IWA世界タッグ王座を9度獲得するなど、オーストラリアマットでも成功を収めました。バーナードとのコンビは、オーストラリアだけでなく、日本でも大きな成功を収め、日本プロレスでアジアタッグ王座を獲得しました。BI砲（ジャイアント馬場＆アントニオ猪木）のインターナショナル・タッグ王座にも挑戦するなど、日本プロレスにおいて大きな存在感を示しました。

十六文キックへの関与

スカル・マーフィーは、ジャイアント馬場の代名詞である十六文キックの開発にも関与したとされています。馬場がアメリカ修行中にマーフィーと組んだ際に、マーフィーが相手をロープに飛ばして馬場にキックを推奨し、それが十六文キックの原型になったとされています。

謎に包まれた死

1970年3月23日、ノースカロライナ州シャーロットで急死。死因は心臓発作と報じられましたが、睡眠薬の過剰摂取による自殺説、ノイローゼによる自殺説など、様々な憶測が飛び交っています。

評価とその後

スカル・マーフィーは、独特の風貌とヒールとしての卓越した演技力、そして数々のタイトル獲得によって、プロレス史に名を残すレスラーとなりました。彼の死後も、多くのプロレス関係者から惜しまれ、もしも彼が存命であれば、日本のプロレス界で更に活躍したであろうと推測されています。彼の存在は、プロレスラーとしての才能だけでなく、その個性的なキャラクターも含め、日本のプロレス文化にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。 彼の名前は、今もなお多くのプロレスファンに語り継がれています。

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