VoiceOverとは
VoiceOverは、
Appleが開発したスクリーンリーダーで、macOS、iOS、iPodに内蔵されています。この機能は、視覚障碍者や読字困難なユーザーが、音声を通じてデバイスを操作できるように設計されています。
macOS版VoiceOver
VoiceOverは、Mac OS X v10.4で初めて搭載されました。当初は、視覚障害、特に
失明により文字を読むことが困難なユーザーを支援するための機能として開発されました。Mac OS X v10.3では、「Spoken Interface Preview」としてプレビュー版がリリースされました。
ユーザーインターフェースは、階層的な要素で構成されており、特定のキーストロークでナビゲートできます。テキストボックスでは、テキストの読み上げだけでなく、編集も可能です。また、スクロールバーはキーボードで操作でき、
点字ディスプレイにも対応しています。
MacBookや
Magic Trackpadユーザー向けには、
マルチタッチ機能が用意されています。トラックパッド上で指をスライドさせると、画面上の要素を音声で確認でき、指でタップすることで要素が操作できます。
Mac OS X v10.5では、より人間に近い音声「Alex」が追加されました。以前は、1990年代初めに
Appleが提供していた「Speech Manager」の音声を使用していました。Mac OS X Lionからは、NuanceのRealSpeakボイスをダウンロードできるようになりました。
iPod shuffle版VoiceOver
Macでの成功を受け、
AppleはiPod shuffleにもVoiceOverを導入しました。曲の再生時にタイトルを読み上げることができ、2010年版ではプレイリスト名も読み上げられるようになりました。Mac版がアクセシビリティ機能として提供されているのに対し、iPod shuffle版はすべてのユーザーが利用できる機能として提供されています。
iOS版VoiceOver
iPhone 3GSの発売数ヶ月後に、VoiceOverはiOSにも対応しました。iPod touchがiPhone 3GS相当にアップグレードされた際に搭載され、iPadでは発売当初から利用可能です。
iOS版VoiceOverでは、ディスプレイ上でのジェスチャーを使用して操作します。例えば、一本指で画面をスライドさせると、指が通過した場所にあるコンテンツを音声で読み上げます。これにより、視覚障害のあるユーザーは、画面のレイアウトを把握することができます。ダブルタップは、マウスのダブルクリックと同様に、選択した項目を実行します。
また、画面表示をオフにする「スクリーンカーテン」機能も搭載されています。これにより、バッテリー消費を抑えながら操作できます。この機能は、macOSでも利用可能です。iOS版VoiceOverは、設定アプリの「アクセシビリティ」セクションで有効にできます。
iPod nano版VoiceOver
2009年9月には、iPod nanoにもVoiceOver機能が追加されました。iOS版と同様のジェスチャー操作が可能です。
まとめ
VoiceOverは、
Apple製品に欠かせないアクセシビリティ機能であり、視覚障碍者や読字困難者だけでなく、多くのユーザーにとって便利な機能です。音声による操作やコンテンツの確認を可能にし、デバイスの利用体験を向上させています。
参考情報
Apple VoiceOver公式サイト
VoiceOverマニュアル