スクルド

スクルド：運命を司る女神、ノルンの一柱

スクルド（古ノルド語: Skuld）は、北欧神話に登場する運命の女神であり、ノルン（ノルニル）と呼ばれる三姉妹の末妹です。彼女の名前は「税」「債務」「義務」、または「未来」を意味します。

概説

『古エッダ』の『巫女の予言』によれば、ノルン三姉妹はユグドラシルの根元の海から現れたとされています。一般的に、スクルドは未来を司る女神として解釈されています。

スクルドという名前は、ワルキューレの一柱としても見られます。『巫女の予言』では、ヘリアン（「軍勢の父」すなわちオーディンの意）の娘であるワルキューレたちが、楯を持ったスクルドを先頭に天を飛んでいく様子が描写されています。また、『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第36章では、運命の女神であり一番年下のスクルドが、ワルキューレのグズ、ロタと共に戦場に現れては戦いの決着に関与し、戦死者を選び取っているとされています。

ただし、ノルンとしてのスクルドとワルキューレとしてのスクルドが同一神格であるかについては議論が分かれています。シーグルズル・ノルダルは、ワルキューレとしてのスクルドがより古くから知られていたと考えています。

スクルドは、運命を司る女神として、また戦場に現れるワルキューレとして、北欧神話において重要な役割を果たしています。彼女の存在は、古代の人々が運命や未来、そして戦いに対して抱いていた畏敬の念を反映していると言えるでしょう。

参考文献

V.G.ネッケル他編『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年、ISBN 978-4-10-313701-6。
シーグルズル・ノルダル『巫女の予言 エッダ詩校訂本』菅原邦城訳、東海大学出版会、1993年、ISBN 978-4-486-01225-2。
Orchard, Andy (1997). Dictionary of Norse Myth and Legend. Cassell. ISBN 978-0-304-34520-5.

関連項目

ノルン
ウルズ
ヴェルザンディ

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