スグリ属

スグリ属（Ribes L.）

スグリ属は、スグリ科（Grossulariaceae）に分類される植物の属の一つで、およそ150種を含みます。APG植物分類体系では、スグリ属のみでスグリ科を構成します。

特徴

スグリ属の植物は、落葉性または常緑性の低木であり、まれに高木となる種類も存在します。葉は互生し、掌状に浅くから中程度に裂けます。多くの種では、枝に刺が見られます。

花は通常5数性（まれに4数性）で、多くの場合、総状花序につきますが、束状や単生する場合もあります。子房は下位に位置し、液果である果実には多数の小さな種子が含まれています。

分布

スグリ属の植物は、主に北半球の温帯から亜寒帯地域に約150種が分布していますが、一部は南半球にも分布しています。日本には9種が自生しており、いくつかの種は栽培もされています。

スグリ属は7つの亜属に分類されることがありますが、セイヨウスグリなどが属するスグリ亜属（Subgen. Grossularia）を独立した属として扱う考え方もあります。

利用

スグリ属の多くの種は、世界中で果物として利用されており、生食のほか、ジャムやシロップなどに加工されます。果実にはアントシアニンなどのポリフェノールが豊富に含まれており、健康食品の材料としても使用されています。

注意点

スグリ属の植物は、マツ属の樹木に枝枯れなどの被害を引き起こすさび病の中間宿主となることがあります。特に、北米大陸ではアジアから侵入したCronartium ribicolaというさび病菌が、抵抗力のない五葉マツ類に壊滅的な被害を与えており、スグリの栽培が制限されている地域が存在します。

日本に自生する主な種

ヤブサンザシ Ribes fasciculatum
ザリコミ Ribes maximowiczianum
ヤシャビシャク Ribes ambiguum
コマガタケスグリ Ribes japonicum
トガスグリ Ribes sachalinense
トカチスグリ Ribes triste
エゾスグリ Ribes latifolium
クロミノハスグリ Ribes horridum
スグリ Ribes sinanense

その他の主な種

クロスグリ Ribes nigrum
アメリカフサスグリ Ribes americanum
フサスグリ（アカスグリ） Ribes rubrum
マルスグリ（セイヨウスグリ） Ribes uva-crispa

語源

属名のRibesは、ペルシャ語やアラビア語で「酸味のある」という意味を持つribasに由来します。

参考文献

佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅰ』(1989)平凡社
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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