スコットランドによるアメリカ大陸の植民地化

スコットランドによるアメリカ大陸の植民地化は、一筋縄ではいかない複雑な歴史を持っています。初期の試みから、1707年の合同法成立後のイギリス植民地におけるスコットランド人の役割、そしてカロデンの戦いやハイランド・クリアランス後の再移住まで、多様な側面が存在します。

ヴィンランド遠征（1010年頃）

アイスランドのサガによれば、ソルフィン・カルルセフニがスコットランド人奴隷を連れてヴィンランドに遠征したとされています。彼らは偵察隊として派遣され、スカンジナビア人の集落形成に貢献した可能性があります。

ノバスコシア（1621年）

記録に残る最も初期のスコットランド開拓地は、1621年のノバスコシアです。ジェームズ6世がスターリング伯爵に植民地建設の勅許を与えましたが、当初は失敗が続きました。1629年になってようやく恒久的な開拓地が築かれました。ノバスコシアは法的にスコットランド本土の一部とみなされ、イングランドの航海法を回避する手段としても利用されました。

ジェームズ6世は準男爵という貴族階級を創設し、移民を奨励しました。しかし、イングランドとフランスの戦争により、フランスがノバスコシアに再進出し、一時的にスコットランドの植民地は放棄されました。

ケープ・ブレトン島（1625年）

1625年、ジェームズ6世はケープ・ブレトン島の開拓勅許を出しましたが、ノバスコシアと同様の問題により植民地化は実現しませんでした。

東ニュージャージー（1683年）

1683年、チャールズ2世はニュージャージー植民地の勅許を24人の領主に与え、そのうち12人がスコットランド人でした。植民地はイングランド人のウェスト・ジャージーとスコットランド人のイースト・ジャージーに分かれました。ユリエのロバート・バークレーがイースト・ジャージーの初代知事となり、クエーカー教徒が重要な役割を果たしました。

1680年代には約700人のスコットランド人移民がイースト・ジャージーに渡りました。1685年からは、カベナンターの国外追放により移民が増加しました。1690年代には、ウィリアム3世がジェームズ2世を支持した領主に対抗したため、移民の伸びは鈍化しましたが、1720年代に再び増加しました。イースト・ジャージーでは長老派教会が支配的な宗派となりました。

1697年まで、イースト・ジャージーの歴代知事は全てスコットランド人でした。1702年以降も政治と実業界で強い影響力を維持しました。

カロライナのスチュアーツ・タウン（1684年）

1680年代初期、カロライナ植民地でスコットランド人のために2つの郡が購入されました。1684年、148人のスコットランド人移民が現在のサウスカロライナ州ポートロイヤルに到着し、スチュアーツ・タウンを建設しました。しかし、スペイン人と同盟したインディアンやチャールズタウンのイングランド人との紛争が絶えませんでした。1686年、スペインの報復攻撃によりスチュアーツ・タウンは消失しました。

ダリエン計画（1695年）

ダリエン計画は、スコットランドによる植民地経営で最も悪名高い失敗例です。1695年、スコットランド議会はアフリカ・インド貿易のスコットランド会社を設立する法律を成立させました。会社はアフリカとアジアでの貿易独占権と植民地建設権を与えられました。

しかし、イングランド商人や政府の妨害により、資金調達は困難を極めました。1696年、2,500人のスコットランド人移民がパナマ地峡のダリエンに貿易植民地を建設するために出発しました。しかし、食料不足、経験不足、病気、悪天候、そしてスペインの妨害により、植民地は崩壊し、多くの犠牲者を出しました。

ジョージアのデリエン（1735年）

ジョージアのデリエンは、イギリス領ジョージア植民地にできたスコットランドの開拓地です。1736年、ジェームス・オグルソープ将軍がスコットランド・ハイランド地方の移民を募り、新しい開拓地を建設し、ジョージアをスペインから守る役割を与えました。スコットランド人移民は軍事用砦を建設し、牛の飼育と木材の伐採に特化しました。

1739年、この植民地の住民はジョージアにおける奴隷制導入に反対する最初の請願書に署名しました。植民地は成功を収めましたが、スペインやその同盟インディアンとの衝突は続きました。ジェンキンスの耳の戦争では、スコットランド人はスペインの砦を征服しましたが、モサ砦の戦いで敗北しました。しかし、ジョージアのスコットランド開拓地は存続を続けました。

スコットランドによるアメリカ大陸の植民地化は、成功と失敗が入り混じった複雑な歴史です。これらの試みは、スコットランドの歴史、文化、そして人々に大きな影響を与えました。

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