スゴ録

ソニーのDVDレコーダーブランド「スゴ録」

「スゴ録」は、ソニーがかつて展開していたDVDレコーダーのブランドです。2001年に初のDVDレコーダーを発売して以来、2008年 1月までに全モデルの生産を完了しました。このブランドは、独自の機能と先進的な技術で、多くのユーザーに支持されました。

スゴ録の歴史

ブランド誕生と初期モデル

2001年、ソニーは初のDVDレコーダー「RDR-A1」を発売し、DVDレコーダー市場に参入しました。2003年には「スゴ録」ブランドが発表され、本格的な展開が始まりました。同時期には、PlayStation 2をベースとしたHDD・DVDレコーダー機能搭載のゲーム機「PSX」も発売されましたが、PSXは2005年に生産終了となり、2006～2007年はスゴ録が主力ブランドとなりました。

スゴ録はPSXと同時並行で開発されていましたが、PSXが久夛良木健氏を中心に大規模プロジェクトとして開発されたのに対し、スゴ録の開発チームは少数精鋭でした。しかし、スゴ録は田村正和さんや水野美紀さんを起用した分かりやすいCM展開や、他社に先駆けてアナログBSチューナー内蔵モデルを発売したことで、特にNHK-BSで放送されていたドラマ『冬のソナタ』を録画したいユーザーを中心に人気を集め、PSXを上回る販売台数を記録しました。その後、PSXの開発チームの一部はスゴ録チームに合流しました。

初期モデルは性能面で早期に陳腐化する傾向がありましたが、2004年秋に登場した「新スゴ録」シリーズでは、旧モデルの問題点の多くが改善されました。2番組同時録画機能も搭載され、利便性が向上しました。また、VHSビデオデッキを搭載したモデルは、シャープによるOEM生産が中心でした。デジタルチューナー非搭載モデルは、2007年3月までに全て生産が終了しました。

Blu-ray Discレコーダーへの移行とブランドの終焉

Blu-ray Discレコーダーは、次世代光ディスクの普及を優先するため、スゴ録ブランドとは別の名称で展開されました。2008年からは、次世代ディスクの普及を最優先するために全製品をBlu-ray対応としたため、スゴ録ブランドは事実上終息しました。

スゴ録の特徴

「おまかせ・まる録」機能

ソニーのチャンネルサーバー「CoCoon」から受け継いだ「おまかせ・まる録」機能は、スゴ録の大きな特徴の一つです。この機能により、あらかじめ登録した条件やキーワードに合致する番組をEPG（電子番組表）から自動的に探し出し、録画することができました。

スポーツ延長予約

プロ野球などのスポーツ中継が延長になった場合でも、後の番組を正確に録画できる「スポーツ延長予約」機能を最初に導入したメーカーの一つです。これにより、録画の失敗を防ぎ、ユーザーは安心して番組を楽しむことができました。

その他の先進機能

放送時間が変更になった場合でも、電子番組表のタイトル名から追跡して録画時間を自動的に変更する機能や、放送内容の情報を検出し、CMの前後や場面変換時にチャプターを挿入する機能など、多くの先進的な機能を搭載していました。

PSX発売後のモデルでは、PSXのクロスメディアバーや「x-アプリ」といったコンセプトも継承されました。ただし、HDD容量の大容量化には比較的消極的で、最上位モデルでも400GBにとどまっていました。

PSP連携とLinuxカーネル

品番に「A」が付くモデル（RDR-AX75/RDZ-D77A/D97A/D900A）では、録画した番組をPSPに転送して視聴することができました。また、一部モデルではLinuxカーネルが採用されていました。

字幕焼きこみ機能

多くのデジタル放送対応スゴ録では、デジタル放送をVRモードで録画する際に、字幕を映像に焼きこむ機能が搭載されていました。

DVD-RAMへの対応

ソニーは、DVD-RAMの策定に反対し、DVD+RWアライアンスを結成していましたが、2006年春モデルから、録画はもちろん再生にも対応するようになりました。

スゴ録の年表

2003年
10月：初代スゴ録「RDR-VD6」発売（「DV-RW100」のOEM機種）
11月：「RDR-HX8」「RDR-HX10」「RDR-GX5」発売（自社開発）
2004年
11月：2代目モデル「RDR-HX50」「RDR-HX70」「RDR-HX90」「RDR-HX100」「RDR-VH80」発売。HX100は当時業界最大容量の400GB HDDを搭載
2005年
6月：3代目モデル「RDR-HX72」「RDR-HX82W」「RDR-HX92W」発売。HX82W/92Wは同社最初で最後のアナログWチューナーモデル
6月：初のデジタル放送対応モデル「RDZ-D5」発売
6月：VD6以来のDVD/VHSモデル「RDR-VX30」発売
7月：3in1モデル「RDR-VH83」「RDR-VH93」発売（「DV-HRW50/55」のOEM機種）
11月：第2世代デジタルチューナー搭載モデル「RDZ-D50」「RDZ-D70」「RDZ-D90」発売
11月：PSX生産終了に伴う代替機として「RDR-AX75」発売
12月：「x-おまかせ・まる録」搭載の「RDR-HX65」発売
2006年
2月：3in1モデル「RDR-VH85」「RDR-VH95」発売（「DV-TR11/12」のOEM機種）
6月：第3世代デジタルチューナー搭載モデル「RDZ-D77A」「RDZ-D87」「RDZ-D97A」発売。D77A/D97AにPSP転送機能を追加。ソニーのDVDレコーダーとして初めてDVD-RAMの再生に対応
11月：最終機種「RDR-HX67」「RDZ-D700」「RDZ-D800」「RDZ-D900A」発売
2007年
3月：アナログチューナーのみのモデル全機種生産終了。同時にソニーはVHS単体機とDVDプレーヤー一体型ビデオデッキの生産も終了
6月：唯一のデジタルチューナー搭載3in1モデル「RDZ-D60V」の生産終了。ソニーからVHS対応機器が完全に消滅
9月：Blu-ray Discレコーダーの新商品発表会で、DVDレコーダーの新製品を今後一切発売しないと発表
10月：BDレコーダー新機種発売を控え、上位モデルRDZ-D800/900Aの生産終了。以降は最下位モデルRDZ-D700のみ生産
2008年
1月：最後まで残っていたRDZ-D700も生産終了。ソニーはDVDレコーダーから完全撤退し、BDレコーダーのみの販売に移行
1月：ダビング10対応機種を発表。対象は2006年発売の最終機種「RDZ-D700」「RDZ-D800」「RDZ-D900A」

主な品番

アナログチューナーモデル

スゴ録以前
RDR-A1, RDR-A11, RDR-A21, RDR-GX7, NDR-XR1
2003年秋モデル
RDR-VD60, RDR-GX5, RDR-HX6, RDR-HX8, RDR-HX10
2004年秋モデル
RDR-VH80, RDR-HX50, RDR-HX70, RDR-HX90, RDR-HX100
2005年春モデル
RDR-VX30, RDR-VH83, RDR-VH93, RDR-HX72, RDR-HX82W, RDR-HX92W
2005年秋モデル
RDR-AX75, RDR-HX65
2006年春モデル
RDR-VX35, RDR-VH85, RDR-VH95
2006年秋モデル
RDR-HX67

地上デジタルチューナー搭載モデル

2005年春モデル
RDZ-D5
2005年秋モデル
RDZ-D50, RDZ-D70, RDZ-D90
2006年春モデル
RDZ-D77A, RDZ-D87, RDZ-D97A, RDZ-D60V
2006年秋モデル
RDZ-D700, RDZ-D800, RDZ-D900A

最終機種

RDR-HX67, RDZ-D700, RDZ-D800, RDZ-D900A, RDZ-D60V

競合商品

DIGA - パナソニック
AQUOS - シャープ
楽レコ - 三菱

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