スズキ・スプラッシュ

スズキ・スプラッシュ：グローバルコンパクトカーの軌跡

スズキ・スプラッシュは、2008年にスズキが発売した小型ハッチバックです。ハンガリーで生産され、ヨーロッパを中心に世界各国で販売されました。日本市場にも導入され、グローバル展開を象徴するモデルとして注目を集めました。

開発とグローバル展開

スプラッシュは、主にヨーロッパ市場向けに開発されました。ベースとなったのは2代目スイフトのプラットフォームですが、全高以外の寸法は一回り小さく、ホイールベースも短縮されています。空力性能にも配慮され、Cd値はスイフトと同等の0.32を達成しました。

パワートレインは、1.0L、1.2L、1.4Lガソリンエンジンに加え、フィアット製のディーゼルエンジンも用意。トランスミッションは5速MTまたは4速ATが組み合わされました。

スズキとゼネラルモーターズ（GM）の資本関係により、欧州のGM子会社であるオペルとボクスホールにもOEM供給されました。これらのブランドでは「アギーラ」として販売され、スプラッシュの姉妹車的位置づけとなりました。さらに、インドでは「リッツ」、中国では「派喜」という名称で販売されるなど、グローバル展開は多岐に渡りました。

日本市場への導入

欧州での販売好調を受け、日本への導入が決定しました。しかし、国内工場の生産能力が不足していたため、ハンガリーから輸入、国内で最終検査（PDI）を行った上で販売されるという形態が採られました。これは、スズキにとって初めての海外生産車の国内販売という点で画期的な試みでした。

日本仕様は、燃費性能と環境規制への対応を重視。1.2LエンジンにCVTを組み合わせ、優れた燃費効率を実現しました。また、安全面でも、6エアバッグ、ESP、キーレススタートシステムなどを標準装備することで、欧州基準の高い安全性を確保しました。

装備面では、欧州車らしいシンプルながらも実用的な設計が特徴です。一方、カップホルダーなど、日本のユーザーのニーズを反映した細やかな配慮も見られました。サスペンションセッティングは、欧州メーカーからの提案も取り入れられ、ドイツ車風のしなやかさと安定性を両立した仕上がりとなっています。

日本仕様の変遷

日本での販売期間中、マイナーチェンジを複数回実施。2011年の改良では、エンジンとCVTの改良による燃費向上、ESPの標準装備などが行われました。2012年にはデザイン変更やボディカラーの追加なども行われ、販売終了となる2014年まで、改良が重ねられました。

まとめ

スプラッシュは、グローバル展開を成功させたコンパクトカーです。欧州市場での成功を土台に、日本市場でも独自の改良を加え、高い評価を得ました。その成功は、グローバル市場での競争力と、ユーザーニーズへの柔軟な対応が不可欠であることを示しています。シンプルで実用的なデザイン、高い安全性、そして独自の走行性能は、スプラッシュというモデルの大きな魅力であり、自動車業界における重要な事例となりました。

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